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吉田兼好ゆかりの「正圓寺」土地、分割され第三者に売却…元住職ら虚偽登記容疑で再逮捕

 吉田兼好ゆかりの古刹(こさつ)「正圓寺(しょうえんじ)」(大阪市阿倍野区)の土地を巡る虚偽登記事件で、元住職の辻見覚彦(かくげん)容疑者(56)ら3人が、別の土地に実態のない抵当権を設定したとして、大阪府警は25日、3人を電磁的公正証書原本不実記録・同供用容疑で再逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。府警が不正と判断して摘発した寺の不動産登記は2件目。他の建物などについても経緯を調べる。  他の2人は、大阪市内の不動産会社「エクシオコーポレーション」代表の西村浩(57)、別の会社役員の南野潤二(55)両容疑者。南野容疑者は事件当時、エクシオ社の事業に関わっていた。

  捜査関係者らによると、3人は2019年2~3月、境内の土地(約9200平方メートル)について、エクシオ社を債権者、寺を債務者とし、2億円の抵当権があるように偽装して登記した疑い。抵当権は、エクシオ社が土地購入のための手付金2億円を寺に支払った名目で設定されていた。府警が捜査した結果、金をやりとりした形跡はなく、虚偽と判断した。  3人は18年10月、寺に隣接する西成区の宅地について、エクシオ社に売却したとする虚偽の所有権移転を登記したとして、今月5日に同容疑で逮捕された。  

 捜査関係者によると、辻見容疑者は18年3月、運営難の寺を再建するため、資金不足を隠して特別養護老人ホームの建設を発注したが、資金繰りに困って失敗し、多額の債務を負った。南野容疑者らは宅地や境内の土地について、辻見容疑者に「差し押さえを逃れるため、土地の所有者を変えろ。所有権は後で戻す」と持ちかけたという。  不動産登記簿によると、境内の土地は複数に分割され、第三者に売却された。府警は、3人が建設会社の差し押さえを免れ、寺の土地を売却することで利益を得ようとした可能性があるとみて調べている。 

(2023/10/25 読売新聞)