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掛川市、緑地誤って売却 法律で禁止、業者へ伝達に1年

 掛川市が同市家代の里で宅地開発を計画する市内の不動産業者に対し、本来は市で維持管理すべき「緑地」を誤って売却してしまい、この業者に売買契約の取り消しを求めていることが28日までに市や業者への取材で分かった。市が誤りを把握してから業者に伝えるまで約1年かかっていて、この間に業者は事業を進めてきたため、協議が難航している。

 市によると、売却された緑地は3092平方メートルで、地方自治法で原則売却が禁止されている行政財産。緑地は開発時に一定割合で残さなければならない区域で、以前周辺で行われた開発の後、地元の区画整理組合から市に管理が引き継がれたが、市の担当者が行政財産と認識せず、2018年3月に業者に約1千万円で売却した。

 市は18年8月に県の指摘でミスを把握したが、業者に伝えたのは1年後の19年8月。市担当者は「あまり事例のないことで、どう対応できるか検討していた」と説明している。

 業者はこの土地を含む一帯で60区画規模の宅地開発を計画。市から連絡を受けるまでの間に造成を始め、周辺の土地を買い増すなど既に1億円近い資金を投じたという。業者は「市の怠慢で計画に大きな影響が出た。補償を求めたいが、仮に税金で穴埋めされるとしたら納得できない」などと憤る。市担当者は「早く適正な形に戻したい。必要があれば第三者を入れて話を進めたい」と話している。

 行政財産は庁舎や学校など、行政執行に直接使用したり市民が共同使用したりするための財産。

(2019/12/29 静岡新聞