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所有者死亡、相続人なしの「空き家」を解体 横浜市

 横浜市は29日、所有者が亡くなり、放置すれば倒壊などの危険があった神奈川区の空き家を、民法の相続財産管理人制度を活用して解体した、と発表した。管理不全の空き家への対応が課題となる中、行政代執行と比べ早期に解体でき、公費負担が少ないのが特徴。市内での適用は初めて。

 市は2013年、近隣住民の相談によって同区の空き家を把握した。18年10月の台風で屋根が飛ぶなどし、老朽化も進んだため同年12月、空き家対策特別措置法に基づき、倒壊の恐れなどがあり周辺住民に迷惑を掛ける「特定空き家」に認定。所有者が亡くなり、相続人もいなかったことから、横浜家裁に相続財産管理人の選任を申し立てた。

 同制度は相続財産管理人が所有者に代わって債務などを清算し、残った財産は国費とする。今回のケースでは弁護士が土地や建物の売買契約を締結。11月に解体工事が終了した。売却益から相続財産管理人の報酬などがまかなえた場合、申し立てにかかった費用約100万円は、市に返却される可能性がある。現在、緑区でも同制度の手続きを進めているという。

 市建築局によると、市内の空き家は増加傾向にあり、現在17万8300戸と推定されている。

 市は本年度、空き家対策の強化に着手。従来は特定空き家の認定まで2~3年かかっていたが、早期改善につなげるため、その手順も見直した。2016~18年度の3年間に認定した特定空き家は11軒だったのに対し、今年4~10月末で92軒に上っており、今後も指導に努めるとしている。

(201/11/29 神奈川新聞)