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国有地 商業施設にも賃貸 財務省「売却」から転換

財務省は未利用の国有地に関する基本方針について、売却から貸し出しに転換する。1千平方メートル以上の国有地が候補で、保育・介護施設だけでなく、商業施設にも定期借地権付きで貸し出す。国が数十年後に防災などの目的で利用する可能性がある土地であっても、有効活用することで、賃貸収入を得ていく狙いがある。

 

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財務省が22日に開く財政制度等審議会の国有財産分科会に見直し案を示す。これまでは不要となった公務員宿舎などの売却を進めてきた。売却が一巡しつつあることもあり、今後は貸し出しにかじを切る。6月に取りまとめ、具体的な開始時期などを詰める。

 

国有地の中で「将来世代に残すべき有用性の高い土地」と判断した場合、売却しない「留保財産」と位置づける方針だ。一度売却してしまうと、事実上買い戻せないとの事情から手放しづらい国有地も多い。定期借地権付きで貸すことで、国が所有権を持ち続けることができる。

具体的には東京23区など人口密集地で1千平方メートル以上、大阪市仙台市那覇市など地方の中心都市で2千平方メートル以上の国有地が候補になる見通し。ただ、規模が小さくても再開発や人口流入が見込まれる土地などは候補になり得る。

 

民間で不足している保育や介護施設へ重点的に国有地を貸しつつ、商業施設などにも貸し出す。これまで貸し出す場合は、公共目的の施設に随意契約してきた。今後は商業施設を含めるため、競争入札を拡大する。

国有地のため、反社会勢力などが借りないよう注意する。貸出先には事業の健全性や財務状況を確認するため、国の調査に協力することを義務付ける方針だ。

財務省は国有地の売却を進め、国有地の評価額である台帳価格で現在3626億円分が未利用となっている。過去約20年で5分の1に減少した。一方、国有財産の貸し付け収入は年間300億円台にとどまり、有効活用が課題となっている。

(2019/5/21 日本経済新聞