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狭小戸建ての供給が5年で約2倍 “狭さ”生かす住宅形態が浸透

不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S」を運営するLIFULL(東京都千代田区)はこのほど、首都圏における新築狭小戸建て(敷地面積60㎡未満)の掲載動向に関する調査結果を公表した。物件価格の上昇が続く都市部において、限られた土地を有効活用する狭小戸建て住宅が浸透している状況が明らかになった。

調査によると、LIFULL HOME’Sに掲載された狭小戸建て住宅の戸数は、2020年の1011件から2025年5月時点で2053件と約2倍に増加。掲載物件全体に占める割合も1.2%から3.2%へと拡大しており、供給数・シェアともにこの5年で2倍以上に伸長した。全体に占める数や割合はまだわずかだが、調査からは少しずつ確実に増加している様子がうかがえる(下グラフ)。

狭小戸建ての供給が多いエリアとしては、川口市(埼玉県)を筆頭に、大田区・足立区・葛飾区(東京都)など、都心へのアクセスが良く、平均坪単価が100万円台のエリアが上位を占めた。千葉県では市川市、神奈川県では川崎市幸区など、いずれも東京都に隣接する立地が中心となっている(下表)。

 

23区は7000万円台で推移 高騰する一般戸建てとの価格差が顕著に

価格面では、東京都内において狭小戸建ての平均掲載価格は2022年以降、7000万円台で推移。一方、一般の戸建て住宅は上昇が続き、2025年には1億円台を突破した。敷地面積の広さに比例して土地代が嵩むため、狭小戸建ての価格優位性が際立っている。

都内に隣接する3県では、神奈川県で一般の戸建住宅が狭小戸建て住宅よりも高値となっているが、埼玉・千葉では狭小戸建てがやや上回る傾向がみられる。これは、狭小戸建ての供給が東京都内もしくは隣接した特定エリアに限られている点とも関連しており、都心にアクセスしやすい好立地において「狭さを生かす」住宅形態として浸透していることがうかがえる(下グラフ)。

(2025/7/16 新建ハウジングWeb)