東京都環境審議会(会長:高村ゆかり・東京大学未来ビジョン研究センター教授)は2022年8月8日の会合で、「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)」の改正について答申した。都は答申を受けて条例を改正し、戸建て住宅などへの太陽光発電設備の設置義務化に踏み切る方針だ。専門家による技術検討会で、新制度の詳細を詰める。
都が創設するのは「建築物環境報告書制度(仮称)」。都内で1年間に供給する新築中小建築物(2000m2未満)の総延べ面積が2万m2以上の住宅会社やデベロッパーなどに対して、太陽光発電設備とZEV(Zero Emission Vehicle)充電設備の設置義務などを課す。対象には戸建て住宅を含む。
同制度では、太陽光発電設備の設置義務量を事業者単位で設定する。1年間に手掛ける「設置可能棟数」に「算定基準率」と「棟当たり基準量」を乗じて再生可能エネルギー設置基準(再エネ設置基準)を算定する仕組みだ。
22年8月1日に開催した技術検討会の初会合では、棟当たり基準量を「2kW」としたうえで、設置場所を確保できない「屋根面積が20m2未満の建物」を、事業者からの申し出により除外する案を示した。算定基準率については、区域の状況に応じて30%、70%、85%のいずれかを適用できるようにする。
ZEV充電設備の整備基準案についても示した。駐車場を有する戸建て住宅については、1台分以上の配管整備を求める。10台以上の駐車区画を有する集合住宅や非住宅については、1台分以上の充電設備の実装と、駐車区画数の2割以上の配管整備を求める。
(2022/8/22 日経XTECH)