2025年6月4日、厚生労働省東京労働局は、建設、警備、陸上貨物運送業といった、熱中症のリスクの高い場所での作業が多い業界の事業者団体を集め、熱中症予防対策会議を開催した。会議では同月1日に厚労省が施行した労働安全衛生規則(安衛則)の改正省令を受け、熱中症の重篤化防止のために取り組むべき事項を各団体に通知するほか、団体間の情報共有を図った。厚労省は25年5月30日、職場で熱中症が原因とされる死傷者数の24年確定値を発表しており、対策が急がれる。
改正された安衛則は、熱中症の恐れがある労働者を早期に発見し適切な対処ができるよう、「報告の体制整備」、「措置の実施手順の作成」に加え、これらの「関係作業者への周知」を義務付ける。厚労省は、例えば報告の体制整備の方法として、2人以上の作業者が互いに健康状態を確認する「バディ制」の採用や、ウエアラブルデバイスによる作業者の体調管理などを推奨している。
これを踏まえ、東京労働局が管内の事業者団体に対して要請した内容が、(1)暑さ指数(WBGT)の把握と熱中症予防対策の適切な実施(2)熱中症の恐れのある労働者の早期発見、適切な措置を実施する体制整備(3)熱中症の発症リスクの高い疾病を持つ労働者に対しての配慮――の3点だ。
各業界団体との意見交換後、東京労働局の川又修司労働基準部長は「25年6月1日の改正省令の施行を経て、肌感覚としては各団体で取り組みが進んでいるように感じる」と語った。建設業界からは東京建設業協会が、情報誌の配布を通じた熱中症関連情報の発信などを報告した。
(2025/6/10 日経XTECH)