歴史や地理、文字、文化などに関するさまざまなデータを収集・整理し、広く公開している「人文学オープンデータ共同利用センター」で、「日本歴史地名大系」が一部公開されたとのこと。平凡社の協力を得て、『日本歴史地名大系』(全50巻)に掲載されている古い地名とその関連情報が地図にプロットされています。
2023年10月現在、地名の項目は79,502件にまで達するとのこと。位置情報は推定で、まだ改善の余地があるとのことですが、今後予算を確保できればより高精度な位置情報に更新されていくとのこと。現時点ではあくまでも初期バージョンといったところですが、それでもなかなか面白いことがわかるようです。
たとえば、この地名データを都道府県別に集計すると、もっとも多いのは新潟県(4,335件)になるとのこと。これは江戸から明治にかけて、新潟県の人口が多かったことを反映していると考えられます。
また、東京の地名分布をみると、かつての江戸がどのあたりまで広がっていたかが見えてくるのも面白いですね。当時は江戸城の東側に地名が密集しており、西側はあまり人が住んでいなかったことがうかがえます。今とはずいぶん違いますね!
そのほかにも、自分の住んでいるところがかつてどのように呼ばれたのかを調べたり、自分の先祖がどこに住んでいたかなどを地名から探るのも面白そうです。災害の記憶は地名に刻まれるといいますが、引っ越す予定の地域の地名が水害や土砂災害に由来していないか……ということも調べてみるとよいのかもしれません。
「人文学オープンデータ共同利用センター」のWebサイトでは、今回紹介した「日本歴史地名大系」のほかにも、くずし字のデータや古典の書誌データなどが提供されています。江戸時代のレシピなんかもあって楽しそうですよ。
(2023/10/20 やじうまの杜)