国土交通省の発注工事で入札回避を目的とした不適切な契約変更を防ぐため、2025年度から一定の条件を満たす案件で第三者がチェックする仕組みを導入する。東日本大震災の復興工事などで発注を急ぐため、入札を経ずに済むよう進行中の工事の契約を変更して追加工事扱いとしていたことが問題視されていた。同省が25年2月28日に発表した。
対象は、出先事務所の発注ではない一定金額以上の工事(本官発注工事)のうち、(1)工事区分を追加(2)工事場所を追加(3)変更分の金額が当初の工事金額以上――のいずれかに該当する契約変更。第三者が変更前に、追加分を既契約と分離して発注することが困難かどうかを確認する。
発注者が地域の実情を考慮し、第三者として複数の学識者や有識者を選ぶ。第三者への意見聴取の結果はインターネットで公表する。
大幅な増額などを伴う不適切な契約変更を巡っては日本経済新聞が24年2月19日の報道で、本来は個別に入札を実施して発注すべき工事について、国交省が別工事に費用を上乗せし、追加工事として処理していたことを問題視。競争性確保を定める会計法などに抵触する恐れがあると指摘していた。トンネル工事の契約を変更し、橋台の建設を追加した例などがあった。
この問題を取り上げた24年4月24日の衆院国土交通委員会で、斉藤鉄夫国土交通相(当時)は「契約変更前に発注者と受注者以外の第三者から意見聴取を行うことを含め、具体的な取り組みについて検討したい」と述べていた。
(2025/3/4 日経XTECH)