国土交通省の「持続可能な建設業に向けた環境整備検討会」(座長:楠茂樹・上智大学法学部教授)は2023年3月29日、民間発注者と受注者の間の新たな関係構築や競争環境の適正化について提言を取りまとめた。国交省はこれを踏まえて、中央建設業審議会(中建審)などで制度改正を含めた対策を検討する。
21年以降、鋼材やコンクリートなどの建設資材の価格が急騰した結果、民間工事では請負代金への転嫁が十分に進まない状況が生まれた。提言では、受発注者が協議して適切なリスク分担をしながら価格変動に対応できるよう、契約の在り方の見直しを求めた。
具体的には、物価変動に伴い請負代金を変更する際のルールを明確化すべきだとし、中建審が作成した民間建設工事標準請負契約約款の利用を基本とするよう求めた。同約款には、物価や賃金が変動した場合に、受注者が発注者に対して請負代金の変更を求めることができると明記されている。国交省不動産・建設経済局入札制度企画指導室は、「現状では、発注者に協議の席に着いてもらうことすらできない受注者がいる」とする。