WOODY調査士の情報通

登記・測量、住宅、不動産の情報をかき集めています。

所有者不明の「勝手橋」が浸水被害拡大、福島県初の代執行で撤去へ

 福島県いわき市内郷地区の宮川に架かる「勝手橋」と呼ばれる所有者不明の4橋について、河川管理者の福島県は2025年1月にも撤去工事を始める。これらの橋は23年9月の大雨で浸水被害拡大の一因になったと見られる。県は河川法に基づく簡易代執行によって撤去する旨を2024年12月6日に公告した。勝手橋は全国に1万カ所ほどあり、各地で存廃を巡る問題が生じている。

撤去予定の管理者不明橋で、警告看板を設けた様子(写真:福島県)
撤去予定の管理者不明橋で、警告看板を設けた様子(写真:福島県
[画像のクリックで拡大表示]

 勝手橋は設置者や所有者が分からず、管理者が決まっていない橋を指す。宮川に架かる勝手橋は約50年以上前から存在していたと見られており、点検や維持管理がなされていたかは不明。コンクリート製や木製、橋脚のみ残るなど形状は様々だ。

 23年9月の台風13号に伴う大雨により、内郷地区では大規模な浸水被害が生じた。そこで、県は23年12月から24年6月にかけて、有識者などから浸水対策の助言を得るため、新川・宮川浸水対策検討会を計4回開催した。その結果、宮川に架かる勝手橋が浸水被害拡大の一因になったとして、10橋を撤去する方針を決めた。

宮川の氾濫解析結果(出所:福島県)
宮川の氾濫解析結果(出所:福島県
[画像のクリックで拡大表示]

勝手橋が流木をせき止めた

 実際に宮川では大雨により、市道に架かる橋や勝手橋など複数の橋で、桁や高欄によって流木がせき止められて、水があふれ出たと見られる。さらに、橋の数が多かったため、各橋からの溢水(いっすい)が重なり、広範囲な浸水被害につながった可能性がある。

 撤去に当たっては、10橋のうち4橋を先行して進める。被災後に所有者や利用状況などの実態調査を実施し、その中で撤去することついても住民の理解を得られたからだ。残る6橋は、今後の市道橋などの架け替え時に、併せて統廃合できるように現在調整を進めている。

(2024/12/23 日経XTECH)