2024年9月20日から約3日間にわたって日本海側を中心に降り続いた記録的な豪雨で、石川県能登地方などに生じた被害の全容が徐々に分かってきた。総務省消防庁は9月24日午前7時30分までに死亡者7人と行方不明者2人を把握した。
国直轄の河川や国道の被害は一部にとどまるものの、県管理のインフラ施設などで多数の被害が確認されている。24年1月の能登半島地震の復旧工事現場においても土砂崩れや仮設材の流出、破損などが生じており、復旧の遅れにつながる可能性が高い。
9月24日午前7時30分時点までの国土交通省の集計によると、石川県が管理する19水系26河川で氾濫による浸水被害が発生。うち2カ所で堤防の決壊を確認した。土砂災害は19件を把握済みで、そのうち17件が石川県内で起こった。同県では土砂崩れや法面崩壊によって補助国道5区間と県道33区間が通行止めとなり、56カ所の集落が孤立状態に陥っている。
48時間で平年の9月の降水量を超える
特に被害が大きいのは、24年1月の能登半島地震で被災した石川県輪島市と珠洲市、能登町の3市町だ。国交省と気象庁は21日、線状降水帯の発生を受けて3市町に大雨特別警報を発令した。気象庁の速報値によるとその後、珠洲市と輪島市で1時間、3時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間の各降水量の全てが観測史上1位となった。
例えば輪島市では48時間降水量が最大で498.5mmを記録した。同地点の平年の9月における1カ月間の降水量は214.5mmなので、その2倍以上がわずか2日ほどで降ったことになる。珠洲市の降水量も同じく、同地点の平年の9月1カ月間分に当たる雨量の2倍を超えた。
石川県内では、24年1月に起こった能登半島地震の復旧工事現場においても複数の被害が生じている。安藤ハザマは9月22日、国道249号中屋トンネルの復旧工事に従事していた同社社員1人の死亡を確認したと発表した。付近で発生した土砂災害に巻き込まれたとみられ、4人が一時安否不明となっていた。同社社員以外の作業員3人は22日に救助されたという。
24年1月の地震以降通行止めとなっていた中屋トンネルでは、鋼製プロテクターの設置など応急対策を終えており、9月25日に緊急車両や地元車両への交通開放を予定していた。
(2024/9/24 日経XTECH)