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埼玉 秩父 他人の山林に無断で大量の土砂搬入か 3人逮捕

埼玉県秩父市の他人の山林に無断で大量の土砂を運び込んだなどとして日高市の業者ら3人が逮捕されました。
運び込まれた土砂はおととしの大雨で崩れ川がせきとめられるなどの被害が出ていて、警察が詳しいいきさつを調べています。

逮捕されたのは、日高市の自営業、田嶋晶浩容疑者(61)と土砂の運搬などを行う秩父市の会社社長の北村信広容疑者(54)、北村容疑者の会社の従業員の田口佐知子容疑者(53)です。
警察によりますと、3人はおととし2月から7月にかけて、秩父市の他人の山林、およそ3000平方メートルで重機などを使って木を押し倒したうえ、無断で土砂を運び込んだとして不動産侵奪の疑いが持たれています。
運び込まれた土砂はおととし7月、大雨のあと崩れ、斜面のふもとを流れる川がせき止められるなどの被害が出ました。
県は土砂の撤去を命じていましたが応じなかったため、およそ1億5000万円をかけて撤去し、その後、無許可で土砂を運んだ疑いで刑事告発していました。
警察は捜査に支障があるとして3人の認否を明らかにしていません。

県などによりますと容疑者らは最初は自らが管理する土地に県の許可を得たうえで盛り土をしていましたが、その後、越境して他人の土地に盛り土をするようになったということです。
警察によりますと他人の土地の木を押し倒し不法に使用した土地の面積はおよそ3000平方メートルに及ぶということです。
これらの土砂はおととし7月下旬に大雨のあと、一気に斜面を崩れ、ふもとの蒔田川に流れ込みました。
土砂は長さおよそ150メートルにわたって川をふさぎ、一部は川沿いの水田にも達しました。
県は、業者に撤去を命じましたが、一向に応じなかったということです。
県は放置すれば台風などによる大雨で土砂にせき止められた水があふれて被害が出る恐れがあるとしておととし9月に業者に代わって土砂を撤去する行政代執行を行いました。
撤去にはおよそ1億5000万円の費用がかかったということです。

今回、土砂を不法に放置された山林を所有している宮下泰男(65)さんがNHKの取材に応じました。
宮下さんによりますと3年前の2019年の暮れに近所の住民から「土砂が放り込まれている」と連絡があり被害に気づいたということです。
山林から数百メートル離れた自宅からも夜遅くに重機の音が聞こえ、車のライトが見えることもあったといいます。
その後、山林のようすを見に行くと、すでに所有する土地の3分の1ほどに土砂が積まれていたということです。
宮下さんは県に通報し、県は業者を特定したうえで中止するよう求めました。
しかし、その後も盛り土は撤去されるどころか増え続けたといいます。
宮下さんは「土砂が置かれた場所は沢の上流にあり水が集まってくるところだ。残土に水を含ませているようなもので、雨が降ればいつ流れ出てもおかしくなかった」と話しています。
土砂が運びこまれてから半年ほどたった2020年の7月下旬。
山林に積まれた盛り土は大雨のあと一気に崩れました。
宮下さんは、そのときのようすについて「自宅から聞き慣れない轟音がして、何が起きたのかと思い土砂が大きな木を巻き込み流れてきた。一瞬だった」と振り返ります。
宮下さんは「悪質な業者に一般市民が1対1であるいは地域で対応するのには限界がある。熱海の土石流以降、法整備が進んでいるようだが、廃棄物や残土がちゃんと処理できているかをチェックするようなしくみを作る必要がある」と話していました。

埼玉県内では今回の事件以外にも不適切な盛り土が確認されています。
県によりますと、去年8月から11月にかけて県内にある470か所の盛り土を調査したところ、排水設備など災害防止の対策が行われていないケースが63か所にのぼり、是正するよう指導したということです。
一方、盛り土をめぐっては、去年7月に静岡県熱海市で起きた土石流を受けて国も対策に乗り出し、先月大雨などで崩落のおそれのある盛り土の規制や罰則の強化を盛り込んだ宅地造成等規制法の改正案、通称「盛土規制法」が成立しています。
法律は来年5月ごろに施行される見通しです。
埼玉県は違法な盛り土が造成されないよう警戒を強化するとともに、自治体に対しても警戒するよう呼びかけています。

(2022/6/21 NHK NEWS WEB)