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住宅の省エネ基準適合義務化、省エネ適判の省略や合理化を解説

 2025年4月、改正建築物省エネ法が施行され、原則全ての建物で省エネ基準適合が義務付けられる。特に影響が大きいのが、延べ面積300m2未満の住宅だ。これまで建築主への説明義務制度しか適用されていなかったが、省エネ基準適合が義務付けられる。設計実務への影響は必至だ。

 省エネ基準への適合は、建築確認の段階で審査される。国土交通省は、建築物エネルギー消費性能適合性判定(省エネ適判)の活用を基本と位置付ける。省エネ適判を実施するのは、所管行政庁または登録建築物エネルギー消費性能判定機関(登録省エネ判定機関)だ。つまり、確認申請の段階で、省エネ適判の手続きも同時に進める必要がある。

 国交省は、申請者や審査者の負担を軽減するため、省エネ適判が不要な場合や省エネ適判の手続きを合理化する方法を整備した。24年10月から全国で実施している実務者講習会でも詳しく解説している。

 分かりやすいのが、省エネ適判手続きを判定するチャートだ。ここでは「省エネ適判が必要な場合」「省エネ適判が不要な場合」「省エネ適判手続きの合理化」の3つのルートを示し、どのような場合にそれぞれを選択できるかを示している。

住宅に関わる省エネ基準適合確認の手続きは、評価方法の種類と活用書類によって、省エネ適判の省略や、手続きや添付書類の合理化ができる(出所:国土交通省「省エネ基準適合義務制度の解説」)
住宅に関わる省エネ基準適合確認の手続きは、評価方法の種類と活用書類によって、省エネ適判の省略や、手続きや添付書類の合理化ができる(出所:国土交通省「省エネ基準適合義務制度の解説」)
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 前述の通り、通常の手続きでは、省エネ適判が必要になる。具体的な手続きは次の通りだ。まず確認申請と並行して省エネ適判を申請し、省エネ計画書を提出する。原則14日以内に審査され、省エネ基準への適合が確認できれば、省エネ適合判定通知書が交付される。この通知書を建築主事や指定確認検査機関に提出して、確認申請における省エネ基準に関連した審査が完了する。

 省エネ適判が不要なルートは、大きく分けて2つある。1つは仕様基準を活用して省エネ基準に適合する場合だ。この場合、確認申請の審査で省エネ基準への適合を審査する。仕様基準については、16年国交省告示266号で示している。

 もう1つは、設計住宅性能評価や長期優良住宅の認定を活用する方法だ。設計住宅性能評価を活用する場合、断熱等級4以上かつ1次エネルギー消費量等級4以上のものに限る。いずれの制度を利用した場合も、性能評価書や認定書を確認審査の末日の3日前までに建築主事や指定確認検査機関に提出する。

左は省エネ適判が必要な場合。これが基本形となる。右は省エネ適判が不要な場合。仕様基準によって評価する場合や、設計住宅性能評価を受ける場合は、省エネ適判は不要となり通常の確認申請の手続きの中で省エネ基準適合を確認する(出所:国土交通省「省エネ基準適合義務制度の解説」)
左は省エネ適判が必要な場合。これが基本形となる。右は省エネ適判が不要な場合。仕様基準によって評価する場合や、設計住宅性能評価を受ける場合は、省エネ適判は不要となり通常の確認申請の手続きの中で省エネ基準適合を確認する(出所:国土交通省「省エネ基準適合義務制度の解説」)
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(2024/11/26  日経XTECH)