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省エネ審査で確認申請が変わる、設計業務の前倒しは必至

国土交通省は全国で実務講習会を開催し、省エネ基準適合義務化制度や確認申請の手続きなどを解説している。その内容から、建築実務者への影響が見えてきた。多くの設計者が業務の前倒しを迫られる。

 「会場では受講できなかった。受付開始から1時間足らずで満員になった」。国土交通省が2023年11月から24年2月に全国で開催した「実務者講習会」には、多くの建築実務者が詰めかけた。国交省は、講演の動画を配信して、会場で受講できなかった実務者をフォローする。

 講習の主な内容は、省エネ適判を建築確認に組み込んだ手続きの流れなどだ。省エネ適判を受ける場合、省エネ適判機関から交付される省エネ適合判定通知書を確認検査機関などに提出すれば実質的な省エネ審査が終わる。省エネ適判手続きを省略する場合は、確認審査の中で省エネ基準への適合が確認されることになる〔図1〕。省エネ適合判定通知書は、住宅性能表示制度の設計性能評価書で代替できる見通しだ。

〔図1〕省エネ審査の手続きは2パターン
〔図1〕省エネ審査の手続きは2パターン
法施行後の建築確認手続きの流れ。左は省エネ適判が必要な場合。省エネ適判機関などが交付する省エネ適合判定通知書を、指定確認検査機関などに提出する必要がある。右は、仕様基準など、省エネ適判が要らない場合。確認審査の中で省エネ基準への適合が確認される(資料:国土交通省の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 設計者からは、「設計業務のフローを見直す必要がある」との声が上がっている。現状、確認申請後に設計性能評価書を取得している住宅会社が多いからだ。

 埼玉県を中心に戸建て住宅を供給する住協グループの住協建設(狭山市)もその1つ。同社設計部の内藤豊光次長は「設計性能評価書を確認申請の前に取得するには、設備も含めて設計内容を確定する必要がある。建て主との打ち合わせを大幅に前倒ししなければならない」と語る。

(2024/2/22 日経XTECH)