和歌山県串本町、那智勝浦町を結ぶ八郎山トンネルで施工不良が見つかった問題で、県は20日の県議会で直接的な原因について「掘削位置のずれや断面不足があったにもかかわらず掘削のやり直しをせずにコンクリートを打設するなど、不適切な施工管理があったと推察される」と明らかにした。
開会中の9月定例会で、佐藤武治議員(自民)の一般質問に福本仁志・県土整備部長が答えた。トンネルの状況について「広範囲でコンクリートの厚さ不足と空洞を確認した」と説明。施工不良の原因については「測量ミスが原因の一つと判明しているが、それ以外(の原因)についても調査を進める」と述べた。
原因の究明や対策について、現時点ではデータが不十分だとして追加の掘削調査を行う方針を示した。トンネルの開通時期については「予定を申し上げることはできないが、年内には対策方法や施工時期のめどを立てたい」と語った。
トンネルは令和2年9月に着工し、4年9月に工事が完了。同年12月、照明設置のため天井に穴をあけたところ、コンクリートの厚さが足りず穴が貫通して施工不良が判明した。工事を請け負ったのは浅川組(和歌山市)と堀組(同県田辺市)による共同企業体で、県は両社を7月から6カ月間、入札参加資格停止にした。
(2023/9/20 産経新聞)