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危ない老朽空き家、撤去したのは町内会 市「先進事例」

 山形県米沢市の吹屋敷町(ぶきやしきまち)町内会(三浦憲一会長、約170世帯)が8月、国や市の補助金を活用して地区内の築約40年の空き家を撤去した。各地で放置された空き家が崩壊の危険性や防犯面などから問題になる中、市は「全国的にも珍しく、先進的な事例だ」と説明している。

 市と同町内会によると、撤去したのは数年前から空き家となった築約40年の木造2階建ての住宅。建物が老朽化して倒壊の恐れがあった上、敷地内の樹木が道路まで伸び、蜂の巣もできるなどしていた。市は複数回にわたって所有者に対応を要請したが、費用の問題からそのままになっていたという。

 市は今年度、近隣住民が取得した空き家について、撤去費などを補助する制度を新設。200万円を上限に解体・撤去費の8割を国と市で半分ずつ負担するほか、50万円を上限に家財などの片付け費用の3分の2を市独自で補助する仕組みだ。跡地を地域活性化に利用することなどが条件で、今年度一般会計予算に500万円を計上した。

 同町内会は市の仲立ちで所有者から土地(約200平方メートル)と建物を取得。8月3日に撤去作業に入り、同31日に完了した。解体費と片付け費は計約266万円で、うち約207万円は補助金でまかなった。町内会の負担は、土地と建物の取得費を含めて計約100万円だったという。

 町内会は、跡地を公民館の駐車場や冬季の雪置き場として活用する予定。付近の道路は狭く、クランクになっているため、跡地の一部を市道の拡幅に使う計画もあるという。三浦会長は「子どもたちの通学路の危険な場所を除くことができた。見通しも良くなり、町内会の人たちから『良かった』と言ってもらえている」と話した。

 市は23日の市議会産業建設常任委員会協議会で経緯を報告。ほかにも同様の対策を検討しているケースが市内に2件あるという。
(2020/9/28 朝日新聞