国土交通省が8月29日公表した2024年度の「空き家所有者実態調査」結果(PDF)によると、空き家の約半数が「大都市圏以外の市部」にあり、「大都市圏の市部」にある空き家を合わせると、約9割が市部にあることがわかった。最寄りの駅からの距離を見ると、駅から1km以内では「大都市圏の市部」の割合が高くなっている。

空き家の属性と最寄り駅からの距離
深刻な不具合、旧耐震に多く
空き家の築年数は、「1971~1980年」の空き家の割合が26.4%で最も高く、旧耐震基準の1980年以前に建てられた住宅が全体の約6割を占めている。また、1980年以前に建築された住宅は「使用目的のない空き家」になっている割合が高く、破損の状況も「構造上の不具合が生じていた」「住宅の外観または室内に全体的に腐朽破損があった」など、より深刻な傾向が見られた。

腐朽・破損の状態(建築時期別)
主な管理者は、いずれの用途も「所有者または所有者と同居している親族」の割合が高く、「使用目的のない空き家」で77.2%、「賃貸用」で72.1%、「売却用」で69.8%、「二次的住宅・別荘用」で80.0%となっている。
管理上の課題については、「管理の作業が大変」と答えた人が31.7%で最多だった。種類別に見ると、「使用目的のない空き家」「売却用」では、「住宅を利用する予定がないので管理しても無駄になる」の割合が高くなっている。

管理する上での課題
所有理由の最多は「物置」
今後5年間の利用意向では、「空き家として所有しておく」(31.7%)、「売却する」(19.5%)、「別荘やセカンドハウスなどとして利用する」(19.1%)の順に多かった。種類別では、「使用目的のない空き家」は、「空き家として所有しておく」(40.6%)の割合が最も高いものの、「取り壊して更地にする」(19.2%)と「売却する」(18.3%)がそれに続いている。
空き家として所有し続ける理由については、「物置として必要」(55.8%)、「解体費用をかけたくない」(47.3%)、「住宅の広さ」(37.0%)などが上位を占めた。また、賃貸・売却する上での課題としては、「住宅の傷み」(48.3%)、「借り手・買い手の少なさ」(40.3%)、「家財などの処理」(37.4%)などの回答が挙がっている。

今後の利用意向
同調査は、2023年に総務省が実施した「住宅・土地統計調査」で「居住世帯のない住宅(空き家)を所有している」と回答した世帯のうち1万3268世帯を対象に実施したもので、6294世帯から回答を得た。調査期間は2024年11月から12月。
(2025/9/3 新建ハウジングWeb)