政府は2月27日、「第11回所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議」を開き、空き家対策と所有者不明土地等対策を政策パッケージ化する方針を固めた。両対策を連携し、所有者の探索、空き不動産の利活用、管理・除却、自治体への支援を一体的・総合的に行っていく。空き不動産を子育て世帯向けの住まいや子育て支援施設などに提供し、地域経済の活性化にもつなげる。
空き家・土地の所有者および法定相続人の探索、所有者不明土地での事業実施に掛かる申請業務については住基ネットを活用する。これまで住民票の写しなど紙で行っていた本人確認や探索に必要な情報収集を住基ネット上で行うことで、所有者の現住所の特定が迅速になる。また事業申請時の必要書類が削減されることで実施事業者の手続き負担が軽くなる。令和6年以降、探索のさらなる効率化を図るため、電力会社などの情報や戸籍情報連携システムの活用、相続登記申請義務化なども順次取り入れる。
対策がパッケージ化されることで、これまで活用が難しかった狭小な空き家・空き地を一体化して活用することが可能になった。空き家・土地の利活用にあたっては行政を補完する民間主体(NPO団体など)を指定し、空き家・空き地バンクの整備、子育て世帯とのマッチングなどを実施。土地の整備から住まいや施設の建築までを一気通貫で行えるようサポートする。
早期譲渡促す法制も整備
空き不動産の放置を防ぐため自治体に一元的な相談窓口を設置し、所有者や相続人に対して不動産の早期活用を促す。早期譲渡時のインセンティブ(3000万円の譲渡所得税控除など)を拡大するほか、令和5年4月から施行される「相続土地国庫帰属制度」により、相続放棄した土地を国庫に帰属することも可能となる。負担を軽減させる手段を提案することで所有者の意思決定を後押しする。
管理不全となった空き家などの管理・除却に向けては、家・土地の所有者責務を強化。管理不全・所有者不明の建物管理制度(令和5年4月~)により、利害関係者が申し立てを行い管理人に適切な管理を求めることを可能とした。市区町村が「特定空き家」となるおそれのある空き家に対して行える指導・勧告(固定資産税の住宅用地特例の解除・他)、緊急代執行なども活用する。
(2023/3/1 新建ハウジングWeb)