国土交通省は2025年度予算案の概算要求で、公共事業関係費に24年度当初予算比で19%増の6兆2899億円を計上した。一般会計全体では18%増の7兆330億円を求めた。南海トラフ巨大地震などの地震に備え、上下水道一体での耐震化や住宅の耐震改修などの補助制度を拡充する。注目プロジェクトでは、羽田空港へ向かう新ルート「蒲蒲線」や北陸新幹線の新大阪延伸の整備費を盛り込んだ。北陸新幹線延伸は金額を示さない「事項要求」とした。24年8月27日に公表した。
上下水道一体で耐震化
南海トラフ巨大地震や首都直下型地震といった大規模地震に備えるため、上下水道の耐震化などに取り組む。概算要求では、24年度当初予算比で34%増の2771億円を計上。浄水場や浄水場から水を送る管といった「急所」となる施設の耐震化と土砂災害対策を進める。
24年1月の能登半島地震では、石川県を中心に最大約14万戸の断水が発生するなど、急所施設の損傷による上下水道施設の被害が大きかった。
密集市街地対策や住宅・建築物の耐震化には、24年度当初予算比で115%増の392億円を計上。建築物の転倒は消防活動の妨げとなることから、緊急車両が通行する道路沿いの建築物の耐震化を盛り込んだ。300億円を計上して「住宅・建築物防災力緊急促進事業」を新設する。現行の補助制度では主に自治体と国が折半して耐震改修工事費の23%を補助しており、さらに上乗せして住宅の耐震改修を加速させる。
(2024/8/30 日経XTECH)