能登半島地震を象徴する被害の1つが石川県輪島市の7階建てビル転倒だ。現地では公費解体と原因調査が同時に進む。杭基礎の状態を確認して転倒メカニズムを解明し、今後の対策に生かす必要がある。
日経アーキテクチュア記者が石川県輪島市を再訪した2024年11月22日。市内中心部では、道路に向かって転倒したビルの公費解体が進んでいた。背後の増築部分を解体してヤードを確保し、重機で側面(裏側)から丁寧に壊していく。同市環境対策課の友延和義課長は、「建設会社などにとっても初めての経験で、手探りで進めている」と話す〔写真1、2〕。
登記簿によると、転倒したビルは1973年に建築された地上7階建ての鉄筋コンクリート(RC)造。低層階が地面に3m以上めり込みながら倒れ、上層階が建物東側の市道にはみ出したままになっていた。
市環境対策課によると、解体に着手したのは24年11月5日。解体工事と、国土交通省などによる転倒の原因調査を同時並行で進めている。市は当初、市道の交通規制を早期に解除するため、建物の天端から壊していくつもりだったが、調査中の基礎部への影響に配慮。側面から解体を進める方針に切り替えた。
地上3階から7階部分については、24年12月初旬に解体を終えた。2階以下については、同年度内に解体を終わらせる予定だ。
(2025/1/9 日経XTECH)