静岡県熱海市の伊豆山地区で発生した土石流災害を受け、国土交通省は土砂災害を引き起こす恐れのある危険な盛り土の抽出に乗り出した。今後1カ月程度で標高差が5m以上ある盛り土を明らかにして、自治体などへ情報を提供する方針だ。
熱海市の土石流災害では、逢初(あいぞめ)川上流部に、大規模な盛り土があった。その盛り土が雨で崩壊して被害を拡大させたといわれる。全国に同様の盛り土は至る所にあるものの、国は数や体積など全容をつかんでいない。赤羽一嘉国土交通大臣は2021年7月6日の会見で、「関係省庁と協力して、全国の盛り土の総点検をする方向で考えていかなければならないという問題意識を持っている」と話していた。
今回は国土地理院が2万5000分の1地形図を基に作製した2000年ごろまでの標高データと、08年以降に航空レーザー測量によって作製した標高データとを見比べる。その上で、標高が5m以上変わっている箇所を抽出する。
抽出後は許認可を受けていない「違法盛り土」などを明らかにして、優先的に対策を講じることになりそうだ。盛り土などの行為は、宅地造成や砂防など開発の目的によって許認可を受ける主体が異なる。そのため、各部署で対応方針を定めていく。
盛り土の危険度の評価手法については明らかになっていない。また22年度の予算措置についても今後の検討課題だ。
(2021/7/13 日経XTECH)