WOODY調査士の情報通

登記・測量、住宅、不動産の情報をかき集めています。

逗子マンション斜面崩壊事件、区分所有者が設計者などを提訴

マンションの区分所有者に管理組合、管理会社、売り主、販売代理店、そして建築設計者。誰が事故の責任をとるのか──。2020年に社会的な注目を集めた斜面崩壊による死亡事故が、2つの民事訴訟に発展している。

 大雨も地震も発生していないのに、駅に向かう道路の脇の斜面が突如崩れて、通行人を襲った──。

 この衝撃的な事故は、2020年2月5日午前7時58分ごろ、神奈川県逗子市内の分譲マンション「ライオンズグローベル逗子の丘」の敷地内にある東側の斜面で発生した。市道を歩いていた当時18歳の女子高生が60トン以上の土砂に巻き込まれて亡くなったのだ〔写真1図1〕。

〔写真1〕マンション敷地内の斜面が突然崩れた
2020年2月5日に敷地内の斜面が崩落した、神奈川県逗子市内の分譲マンション「ライオンズグローベル逗子の丘」。住戸は計38戸。大末建設が施工し、04年に完成した。写真は20年2月6日撮影(写真:日経クロステック)
2020年2月5日に敷地内の斜面が崩落した、神奈川県逗子市内の分譲マンション「ライオンズグローベル逗子の丘」。住戸は計38戸。大末建設が施工し、04年に完成した。写真は20年2月6日撮影(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]
復旧工事後の様子で、21年10月14日に撮影した(写真:日経コンストラクション)
復旧工事後の様子で、21年10月14日に撮影した(写真:日経コンストラクション)
[画像のクリックで拡大表示]
〔図1〕斜面崩壊の原因は「風化」
斜面崩壊の現場の様子。市道を通行していた女子高生が土砂に巻き込まれて命を落とした(写真:逗子市)
斜面崩壊の現場の様子。市道を通行していた女子高生が土砂に巻き込まれて命を落とした(写真:逗子市)
[画像のクリックで拡大表示]
崩壊した斜面の断面図(資料:国土交通省国土技術政策総合研究所)
崩壊した斜面の断面図(資料:国土交通省国土技術政策総合研究所
[画像のクリックで拡大表示]
国土交通省国土技術政策総合研究所は、風化した凝灰岩が未風化の岩の上を滑って崩落したと結論づけた

 国土交通省国土技術政策総合研究所の調査によると崩落の主因は、「乾湿、低温などによる風化」だった。

 20年6月には、女子高生の遺族がマンションの管理会社である大京アステージ(東京都渋谷区)や区分所有者を、業務上過失致死や過失致死の疑いで刑事告訴した。

(2021/11/11 日経XTECH)