マンションの区分所有者に管理組合、管理会社、売り主、販売代理店、そして建築設計者。誰が事故の責任をとるのか──。2020年に社会的な注目を集めた斜面崩壊による死亡事故が、2つの民事訴訟に発展している。
大雨も地震も発生していないのに、駅に向かう道路の脇の斜面が突如崩れて、通行人を襲った──。
この衝撃的な事故は、2020年2月5日午前7時58分ごろ、神奈川県逗子市内の分譲マンション「ライオンズグローベル逗子の丘」の敷地内にある東側の斜面で発生した。市道を歩いていた当時18歳の女子高生が60トン以上の土砂に巻き込まれて亡くなったのだ〔写真1、図1〕。
国土交通省国土技術政策総合研究所の調査によると崩落の主因は、「乾湿、低温などによる風化」だった。
20年6月には、女子高生の遺族がマンションの管理会社である大京アステージ(東京都渋谷区)や区分所有者を、業務上過失致死や過失致死の疑いで刑事告訴した。
(2021/11/11 日経XTECH)