(写真:読売新聞)
法務省は、所有者不明土地の相続人調査を拡大する方針を固めた。公共事業を行う民間事業者の要望に応じ、相続人調査に協力する。政府が来年の通常国会に提出を予定している所有者不明土地対策特別措置法の改正案に盛り込む方向で検討している。
所有者不明土地を巡っては、公共事業を実施する際、事業候補地内に所有者不明土地があると、土地の取得や利用ができないことが問題となっている。このため、2018年に成立した同法で、公共事業をする国や地方公共団体の要望により、同省の法務局(8か所)や地方法務局(42か所)の登記官が所有者不明土地の登記名義人や法定相続人を特定し、情報提供する制度を新設した。
同省民事局によると、今年8月末現在、全国で登記名義人約6万9000人分の相続人特定につながっている。
ただ、同省が協力するのは、公共事業の実施主体が国や地方公共団体の場合に限られていることから、民間事業者が公共事業を行う場合についても調査対象にしてほしいという声が出ていた。
このため、公共事業の実施主体の民間事業者は、事業を認可する都道府県や市町村を通じて、調査を要望できるようにする。
また、調査対象とする候補地について、現在は登記名義人の死亡後30年以上経過していることを要件としているが、死亡後10年以上までに緩和し、調査対象を拡大する。
(2021/11/25 読売新聞)