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いかにして空き家を減らすか

 空き家の増加が止まらない。総務省の「住宅・土地統計調査」によると、総住宅数に占める空き家の比率は1998年ごろに10%台に達し、15%台が目前だ。野村総合研究所は除却が進まないシナリオの場合、2038年には総住宅数の約30%が空き家になると予測している〔図1〕。

〔図1〕空き家率の推移と予測
〔図1〕空き家率の推移と予測
2023年以降は予測値。空き家率1は、08~12年度の除却水準が継続する場合を示したもの。空き家率2は、「空家等対策の推進に関する特別措置法」施行後の15~17年度の除却水準が続くと仮定した場合(資料:野村総合研究所の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 国土交通省は15年の「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下、空き家法)施行以降、様々な対策を講じてきた。16~25年が事業期間の「空き家対策総合支援事業」では、市町村による空き家の所有者特定や除却費を支援。16年の税制改正では、相続した空き家を耐震改修した後に譲渡する場合などに、譲渡所得から3000万円を控除する特例措置を導入。23年12月末まで延長する。

 国交省によると、空き家法施行から22年3月末までの約7年間で、修繕・除却された空き家は全国で約14万件。対策の効果は認められるものの、空き家率はなかなか改善しない。

 国交省は対策を加速させるため、社会資本整備審議会住宅宅地分科会に「空き家対策小委員会」を設置。(1)発生抑制、(2)活用促進、(3)管理適正化、(4)除却の促進という4つの論点で検討を進めている。倒壊などの危険がある「特定空き家」になる前に、所有者などを支援する方策などを議論する予定だ。23年1月にまとめる提言に注目が集まる。

 国交省住宅局住宅総合整備課の佐々木雅也企画専門官は、「特定空き家の除却だけでなく、発生抑制も含めた対策が必要だ」と語る。

(2023/2/14  日経XTECH)