経済産業省と環境省は、太陽光発電設備のリサイクル義務化に向けた議論を本格化している。2030年代後半に太陽光パネルの大量廃棄が予想されており、リサイクルを義務付けて環境負荷の軽減を図る。リサイクルしないで放置した場合には罰則を設けることも視野に入れる。24年内に具体策を取りまとめ、25年の通常国会に関連法案を提出する考えだ。
経産省は太陽光発電設備リサイクルワーキンググループ(座長:大和田秀二・早稲田大学理工学術院名誉教授)、環境省は太陽光発電設備リサイクル制度小委員会(委員長:高村ゆかり・東京大学未来ビジョン研究センター教授)を設置し、24年9月13日に初の合同会議を開いた。
同年10月15日には第3回合同会議を開催。太陽光パネルのリサイクル義務化に向けて、発電事業終了後に発電設備の所有者から解体事業者などへ確実に引き渡される仕組みや費用負担などについて議論した。
12年に再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)が始まって以降、太陽光パネルが急速に普及した。しかし、耐用年数は20~30年であるため、30年代後半から廃棄量が増加する見通しだ。環境省によると、廃棄量は年間で最大約50万トンに上る可能性がある。
現行法では、廃棄する太陽光パネルをリサイクルや再資源化する義務はなく、廃棄する事業者が廃棄物処理法に基づいて適正処理することになっている。太陽光パネルを解体したり、分別した素材を再利用したりする技術は確立されつつあるものの、大半は埋め立て処分されているのが実情だ。