国土交通省は、土地の境界を明確化する地籍調査について、所有者の確認手続きに関する新制度を設ける。現地での立ち会い要請に所有者からの反応がなく、市町村が書面で示した境界案に対しても意見がなければ、確認を得たと見なせるようにする。境界特定を進めることで、公共事業の用地取得を円滑にするとともに、災害が起きても早期に復旧できるよう備える狙い。2024年度にも省令を改正する方針だ。
地籍調査は、主に市町村が担っている。訴訟リスクの観点から、原則として境界を挟んだ所有者双方の立ち会いによる現地確認が必要になる。
ただ、市町村が立ち会いを再三要請しても所有者の反応がないケースも多く、この場合「境界未定」として処理せざるを得ない。市町村が対応に苦慮しているほか、いったん未定となった土地は分割・統合できず、売買に支障が生じる。その後、境界を決める場合は、所有者同士が費用を負担するなどして登記手続きする必要もあり、煩雑だ。
新制度は、こうした事態を防ぐのが狙い。例えば、書留を含めて3回程度立ち会い依頼を通知し、それでも反応がない場合、土地の面積が分かる「地積測量図」などの客観的資料に基づいた境界案を送付。これに対して20日間意見がなければ、所有者が確認したものと見なせるようにする。
一方、通知には反応して立ち会いを積極的に拒む所有者については、事後の紛争リスクが高いと考えられるため、新制度の対象にはしない。
(2024/1/5 JIJI.COM)