建築設計の分野では労働時間の長さが懸案だったが、急速に「ホワイト化」が進んでいることが、日経アーキテクチュアが5年ごとに実施している労働実態調査で明らかになった。近年の働き方改革が一定の成果を上げたようだ。
日経アーキテクチュアが1級建築士を対象として2023年6月に実施した調査で、22年の1カ月当たりの平均残業時間を尋ねたところ、「20時間未満」が45.0%を占め最も多かった。「20時間以上、40時間未満」の28.6%と合わせると、全体の4分の3程度に上る。一方、健康障害のリスクが高まるとされる80時間以上の長時間残業は計7.5%にとどまった〔図1〕。
18年調査では「20時間未満」が24.9%、「20時間以上、40時間未満」が30.3%、80時間以上は15.7%だった。この5年間で長時間労働の是正が着実に進んだといえる。
ピーク時の月平均残業時間からも、「ホワイト化」が進んだ様子が見て取れる。18年調査では80時間以上が計31.8%に上ったが、23年調査では計24.1%まで減った〔図2〕。
もっとも、業態によって濃淡はある。業務の平準化が遅れ気味なのが設計事務所。ピーク時の月平均残業時間を見ると80時間以上が依然として計30.4%を占める。
(2023/8/10 日経XTECH)