空き家の買い取り再販やサブリース事業が全国で広がっている。買い取り再販最大手への取材を基にその顧客像を探ると、地方で世帯年収201万円~500万円の人々が空き家を含む中古戸建てに高い関心を示していた。
資材高騰などの影響を受けて、住宅の新築価格は上昇傾向にある。手の届かない新築に比べて、値ごろな中古住宅の購入や賃貸への需要が拡大している。
不動産情報サイト事業者連絡協議会が2022年3月~6月に実施した調査によると、インターネットで不動産情報を調べた1388人のうち、戸建て住宅の購入希望者で中古を検討している人が約6割に達し、新築を上回った。戸建て賃貸を検討している人は30.5%で、21年より13.3ポイント増えた〔図1〕。
中古住宅の購入や賃貸需要は、空き家の活用方法として有力だ。空き家を中心とする買い取り再販事業を1998年に開始したカチタスでは、2021年度の年間販売件数が過去最高の4627件を記録。23年2月に累計約6万5000件を突破した。
同社は買い取りの他、家主が処分に困っている家財道具も引き取るスタイルが特徴だ。物件の9割は、耐震改修と水回り設備の入れ替えを実施。コストを抑えた断熱改修にも取り組み始めている〔写真1〕。
同社が手掛けた物件は9割が戸建てで、大半が三大首都圏以外の地方に立つ。平均販売価格は約1500万円。地方であれば、新築住宅価格の約半分に当たる。主要顧客の世帯年収は201万~500万円〔図2〕。「地方にはこの年収層が1000万世帯以上存在するので、まだまだ成長する分野だ」とカチタス森川晶・マーケティング本部長は話す。