WOODY調査士の情報通

登記・測量、住宅、不動産の情報をかき集めています。

日本発の建設ロボが海外で人気、「鉄筋結束トモロボ」はシンガポール勤務

 日本を象徴する赤と白にカラーリングした建設ロボットが大勢の建設関係者が見守る中、鉄筋を黙々と結束していく──。シンガポールの建設現場で実施した「鉄筋結束トモロボ」のテスト走行だ。

建ロボテックが開発している「鉄筋結束トモロボ」をシンガポールの現場でデモ走行させたときの様子(写真:建ロボテック)
建ロボテックが開発している「鉄筋結束トモロボ」をシンガポールの現場でデモ走行させたときの様子(写真:建ロボテック)
[画像のクリックで拡大表示]

 トモロボを開発している建ロボテック(香川県三木町)は2023年2月、シンガポールに子会社を設立。同年4月には米国の規制に対応を表明するなど、海外進出を加速している。

 トモロボは20年の発売以降、日本全国140カ所以上の建設現場で稼働実績を積んできた。建ロボテックはトモロボを持ち込んだ現場でヒアリングを繰り返し、改良を重ねている。結束作業を自動化するための「補助ロボット」の開発も並行。「日本の現場では1日8時間の作業のうち、準備や材料の補充などロボットの『世話』にかける時間を30分程度に抑えられるなら使いたいと言われてきた。こうした声に応えるめどが立った」(建ロボテックの眞部達也社長)

 日本の職人の技能レベルをベンチマーキングし、技術力の高い日本の職人と協働できる機能やスピードを追求してきた。そのため、熟練工が不足している海外では、トモロボの導入で生産性を何倍にも跳ね上げることが期待できる。シンガポールでは既に、現地の大手建設会社にトモロボの納品を済ませた。

 海外特有の手厚い支援制度もロボット導入の追い風になっている。シンガポール政府は、建設現場の生産性を高める技術の導入を促す補助事業を展開中だ。補助を受けるには現状よりも3割以上高い生産性の向上を証明する必要がある。トモロボを購入した建設会社はこれを明示し、補助金の受給に成功した。導入費の7割を補助金で賄い、現場で使い始めている。

建ロボテックの海外展開。シンガポールの他、韓国や米国でも試行を進めている。同社は2023年4月に、経済産業省がグローバルで活躍できるスタートアップを育成する「J-Startup」に選定された(出所:建ロボテックの資料を基に日経クロステックが作成)
建ロボテックの海外展開。シンガポールの他、韓国や米国でも試行を進めている。同社は2023年4月に、経済産業省がグローバルで活躍できるスタートアップを育成する「J-Startup」に選定された(出所:建ロボテックの資料を基に日経クロステックが作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 建ロボテックはシンガポールの他にも、韓国や米国で現場試行の機会を増やしている。今後は東南アジアや欧米での事業展開も見据える。眞部社長は、「国内外に関係なく、現場での試行で実用性を示すのが導入の第一歩になる。もっとも、海外は日本よりも現場実装までのスピードが速い。市場規模を考えれば、数年後には国内と海外の売り上げは逆転するだろう」と話す。

(2024/4/24 日経XTECH)