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建設3Dプリンターで倉庫を印刷、建築確認を受けた国内初の事例か

 セメント系建設3Dプリンターの開発を手掛けるPolyuse(ポリウス、東京・港)は、建築確認を受けた建物を、同社のプリンターで「印刷」したことを明らかにした。3Dプリンターでの造形を前提に確認済み証の交付を受けた建築物は国内初とみられる。

建設3Dプリンターで印刷した部材を現場で組み立てる様子。2022年2月12日撮影(写真:日経クロステック)
建設3Dプリンターで印刷した部材を現場で組み立てる様子。2022年2月12日撮影(写真:日経クロステック)
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建物の完成予想図。曲面の施工が得意な3Dプリンターの特性を生かす形状とした(写真:Polyuse、MAT一級建築士事務所)
建物の完成予想図。曲面の施工が得意な3Dプリンターの特性を生かす形状とした(写真:Polyuse、MAT一級建築士事務所)
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 セメント系建設3Dプリンターは、ノズルを移動させながらモルタルを吐出して積層し、大型の構造物を造形する技術。複雑な形状の構造物を、型枠を用いずにつくることができるため、デザイン性の向上や工期短縮などの効果を見込める近未来の技術として、国内外で開発が進んでいる。2019年創業のポリウスは、門形のプリンターを自社で開発しているスタートアップ企業だ。

 今回、ポリウスが印刷した建物は幅約6m、奥行き約3~4m、高さ約3m。延べ面積約18m2の平屋で、用途は倉庫だ。群馬県渋川市内の、戸建て住宅が立つ敷地内に増築した。建築確認は同市に申請し、22年1月24日付で確認済み証を取得している。

 構造種別は鉄骨造。6本の柱で屋根を支える構造だ。3Dプリンターを用いて複雑な曲面を描く壁を印刷した。設計・施工はMAT一級建築士事務所(群馬県東吾妻町)が担当。建設資金は同社が拠出している。

ポリウスの建設3Dプリンターで建物の部材を印刷する様子。ノズルから特殊なモルタルを吐出して積層していく(写真:日経クロステック)
ポリウスの建設3Dプリンターで建物の部材を印刷する様子。ノズルから特殊なモルタルを吐出して積層していく(写真:日経クロステック)
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 造形から現地施工までの手順はこうだ。まず、神奈川県鎌倉市内にあるポリウスの拠点で、12ピースに分割した建物の部材を印刷する。1ピース当たりの高さは150cmで、印刷するのにかかるのは4~6時間。全部材の印刷には10日ほど要する。部材の印刷と並行して、現場では基礎を約2週間で施工する。

(2023/2/15 日経XTECH)