WOODY調査士の情報通

登記・測量、住宅、不動産の情報をかき集めています。

住戸内の給排水管交換を拒否する区分所有者とは念書を交わす

 築33年を迎えた分譲マンションのインペリアル東久留米(東京都東久留米市)の管理組合は、給排水管の共用部分と専有部分をまとめて交換する大規模修繕工事を、2022年5月から実施中だ。

 分譲マンションの管理組合が大規模修繕工事で給排水管を交換すると決議しても、全ての給排水管を交換するのは容易ではない。住戸内に入らなければ交換できない配管があるのに、区分所有者が住戸内への立ち入りを拒む場合があるからだ。

 インペリアル東久留米の管理組合は、できるだけ多くの区分所有者が住戸内での給排水管工事に応じるための対策を講じている。修繕工事のコンサルタントなどを手掛ける翔設計(東京・渋谷)が提案した方法だ。

給排水管の交換工事を実施している築33年を迎えるインペリアル東久留米の外観。東京興産が開発し1989年に竣工した(写真:日経クロステック)
給排水管の交換工事を実施している築33年を迎えるインペリアル東久留米の外観。東京興産が開発し1989年に竣工した(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 

マンションの大規模修繕で給排水管交換トラブルを防ぐ、規約改定の秘訣

 築33年を迎えた分譲マンションのインペリアル東久留米(東京都東久留米市)の管理組合は、給排水管の共用部分と専有部分をまとめて交換する大規模修繕工事を、2022年5月から実施中だ。合理的だが難易度の高...

2022/08/26

 

 1つは、区分所有者への説明会と並行して投書を呼び掛け、投書した人と個別に面談を進めたことだ。工事への不安や疑問、細部に関する意見は、説明会よりも投書のほうが上がりやすいと考えた。面談では個々の区分所有者の疑問に答えて不安を取り除くだけでなく、工事の進め方の細部についてよりよい提案も得られたという。

 もう1つは、区分所有者が住戸内の給排水管交換を拒否する場合は管理組合と念書を交わす、としたことだ。念書には、大規模修繕で交換しなかった区分所有者の住戸の配管が漏水して、他の住戸に被害が発生した場合は、被害住戸の回復工事費用などを負う、といった趣旨を記載している。

 従来は、配管からの漏水で発生した被害住戸の回復工事費用などを管理組合の保険でカバーしていたが、今後は大規模修繕で交換した配管からの漏水に限って、管理組合の保険でカバーすることになる。念書を交わすのは、翔設計が過去に大規模修繕のコンサルタントを手掛けたマンションで、工事を拒否する区分所有者が出た際に導入した方法だ 。インペリアル東久留米では、今のところ該当するケースは発生していない。

(2022/8/29 日経XTECH)