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建替え円滑化法改正、老朽化マンションの再生進むか

老朽化マンションの再生促進を目的とする「マンションの建替え等の円滑化に関する法律(以下、マンション建替え円滑化法)」の改正法が成立した。改正法は月内を目処に近々公布予定。公布の日から2年以内に施行される見通しだ。

これまで、建て替えに向けた区分所有者間の合意形成が進まないことなどを理由に、老朽化マンションが放置されるという問題が起こっていた。改正法では合意形成の条件が緩和されるため、今後は建て替えや敷地売却がしやすくなる可能性がある。

現在区分マンションを所有している人や、これから区分マンションを購入するという人は、ぜひチェックしておいてほしい。

高経年マンションは増加見込み、スラム化防げるか

※2018年末に国土交通省省が公表した、築後30、40、50年超の分譲マンション戸数。築30年を超えるマンションは2018年末時点で197万戸あり、20年後には約2.8倍の560万戸まで増加する見込み(出典:国交省『マンション政策の現状と課題』 )

国土交通省の調査によると、2018年時点のマンションストック総数は約655万戸。中でも1981年6月以前に建設された旧耐震基準のマンションは104万戸と、全体の約16%を占める。しかし、2019年4月時点で建て替えが完了した物件は累計244件に留まり、老朽化マンション増加に建て替えが追いついていない。

また、建て替えできた物件については、もともと容積率に余裕があり、建て替え時に余剰分を販売することで費用を捻出できたというケースがほとんど。容積率緩和などの対策も打ち出されたが、国交省によれば建て替えにかかる区分所有者の平均負担額は約1000万円と重く、実現可能な物件は限られているのが現状だ。

老朽化したマンションの敷地を一括売却し、売却時の分配金で新たな物件を購入、建て替えは買受人に任せるという方法も考えられる。しかし敷地売却の場合、国交省が実施する「耐震診断」で耐震性不足と認められた物件以外は、「建物の区分所有等に関する法律」に基づいて区分所有者全員の承認が必要。合意形成は困難という声が上がっていた。

このような背景から、国はマンション建て替え円滑化法を改正。マンション敷地売却の合意形成をしやすくすることで、老朽化したマンションの建て替えを促進する見通しだ。

(2020/6/26 楽待編集部)