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加速する確認申請DX、適判や消防同意の電子化も

2025年施行の改正建築基準法、改正建築物省エネ法は、建築確認の審査機関にとっても負担が大きい。国土交通省はDX(デジタルトランスフォーメーション)、新資格創設などにより、審査体制強化を図るとする。

 国土交通省が建築確認制度におけるDXの柱に据えているのが、2025年からの供用開始を目指す「電子申請受付システム」だ。24年2月時点で、具体的なシステム構築に向けて建築行政情報センター(ICBA)を実施主体として準備が進む〔図1〕。

〔図1〕全ての確認窓口が電子申請対応可能に
〔図1〕全ての確認窓口が電子申請対応可能に
国土交通省が整備を進めている電子申請受付システムのイメージ図。国が整備したインターネット上のシステムへ、申請者、特定行政庁、指定確認検査機関、消防署がそれぞれアクセスする仕組みで、図書保存機能も担う。建築士建築士事務所の名簿閲覧も可能とする。台帳・地図の独自システムや外部システムが既に特定行政庁などに存在する場合(青の破線で囲んだ部分)、それらも取り込む(資料:国土交通省
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 確認申請のオンライン化は広がりを見せているものの、電子申請は全体の約40%程度にとどまる(22年度第1四半期)。そもそも電子申請に対応した確認窓口の方が少なく、指定確認検査機関の約4割しかない。特定行政庁に至っては448行政庁のうち1行政庁という状況だ。電子審査を拡大するため、新たな共通システムを国として整備する〔図2〕。

〔図2〕オンライン化率50%目指す
〔図2〕オンライン化率50%目指す
グラフは確認申請におけるオンライン化率の推移。2021年は延べ54万件のうち約32%だったが、22年第1四半期は約40%に増えた。国土交通省は25年度に同50%を目指している。上の表は電子申請の対応状況で、指定確認検査機関でも約6割が未対応なのが現状だ(資料:国土交通省
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 国交省は最終的に、構造計算や省エネ性能の適合性判定(適判)、消防同意手続きなどをまとめて扱えるシステム構築を予定する。特に消防同意が含まれたのが大きな点で、すでにシステム構築を済ませた指定確認検査機関が、この消防同意部分だけを用いるという運用も想定する。

 BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)による確認申請も25年に始まる。この時点では審査者側がBIMデータから2次元の図面を取り出して審査する「BIM図面審査」となる予定だ。将来的には3次元モデル自体を審査する「BIMデータ審査」への移行を目指す〔図3〕。

〔図3〕2025年にはBIM申請もスタート
〔図3〕2025年にはBIM申請もスタート
2025年の改正法施行を見据えたタイムスケジュール。24年には中間検査や完了検査のリモート検査ガイドライン建築士名簿などのネット閲覧を可能とする制度整備も予定する(資料:国土交通省
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 国交省は、生産性向上や他分野との連携によるイノベーション創出のため、DXの戦略目標を掲げている。その数は、建築指導課がある住宅局だけでも15項目に上る。建築士定期講習の電子化、各種資格とマイナンバーの連携なども含まれ、今後、制度整備を進めていく方針だ〔図4〕。

〔図4〕建築確認の電子化やBIM普及を掲げる
〔図4〕建築確認の電子化やBIM普及を掲げる
国土交通省住宅局がイノベーション創出のために掲げるDXの戦略目標。建築確認の電子化やBIMの普及促進など15項目ある(資料:国土交通省
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(2024/2/22  日経XTECH)

「事業にマイナスの影響」が8割、建設業2024年問題で主要建設会社に緊急調査

 建設業に時間外労働の上限規制が適用される「2024年問題」。2024年4月からの規制適用を間近に控えた2月上旬から中旬にかけて、日経クロステックは主要な建設会社42社にアンケート調査を実施。労働環境改善という大義には賛同しつつも、約8割の企業が事業にマイナスの影響があると考えていることが分かった。

 まずは時間外労働の上限規制の内容を確認しておこう。労働基準法では、時間外労働を原則「月45時間」かつ「年360時間」に制限している。この制限を超える場合は、特別条項付きの36(さぶろく)協定を労使間で結ぶ必要がある。もっとも、これまでは協定を結べば無制限に時間外労働ができるような状態だった。

時間外労働の上限規制の概要(出所:厚生労働省の資料を基に日経クロステックが作成)
時間外労働の上限規制の概要(出所:厚生労働省の資料を基に日経クロステックが作成)
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 そこで、18年成立の働き方改革関連法で設けられたのが「月100時間」「複数月平均80時間」「年720時間」という上限だ。さらに、月45時間を超える月は年6回までに制限された。24年4月以降、災害時における復旧・復興事業を除いて、建設業にもこうした規制が適用される。違反すると6月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される恐れがあるため、建設会社は数年前から対応を進めてきた。しかし、いまだに規制をクリアするめどが立たず、気をもむ企業も少なくない。

 こうした規制が、自社の事業に与える影響について尋ねたところ、回答した30社のうち20%が「マイナスの影響がある」、57%が「どちらかといえばマイナスの影響がある」と回答。約8割が、2024年問題の及ぼすマイナスの影響を懸念していることが分かる。

Q.2024年問題が事業に与える影響は?
Q.2024年問題が事業に与える影響は?
「建設業の2024年問題」が事業に与える影響について尋ねた。約8割がマイナスの影響があると捉えている(出所:日経クロステック)
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 一方、「プラスの影響がある」は3%、「どちらかといえばプラスの影響がある」は7%で、事業への好影響を期待する企業は約1割にとどまった。「影響はない」との回答は13%だった。

 調査は、建築専門誌「日経アーキテクチュア」が毎年実施している経営動向調査の建設会社決算ランキングにおいて、22年度の建築売上高(単体)が500億円以上だった計42社が対象。24年2月19日までに計31社から回答を得た。

(2024/3/7 日経XTECH)

嘉手納町に33万円の賠償命令 果樹を無断伐採 境界を示さなかった過失認める 地裁沖縄支部

 嘉手納町から借りている農地で、町から除草を依頼された業者が果樹などを無断で伐採し損害を受けたとして、農家の女性町民が町に約1191万円の賠償を求めた訴訟で、那覇地裁沖縄支部(足立堅太裁判長)は2月29日、国家賠償法に基づき町に33万円の支払いを命じた。町が業者に依頼した際、女性使用の農地の境界を明確に示さなかったことなどから、町の過失を認めた。

 判決によると、町は当初、業者の無断伐採を自白していたが、その後に事実がないと判明したとして撤回を主張していた。足立裁判長はその撤回を認めず、無断伐採を認定。伐採範囲の推認は困難としつつ、町は自然栽培状態だった女性の農地の境界や特殊性を業者に伝えなかったとした。

 判決を受け、女性は「町の責任を認めた部分は評価できるが、賠償額は実際に負った損害よりかなり低い。控訴するか検討したい」と話した。町はこれから対応を協議するとした。

 判決によると、女性は遅くとも2006年ごろから農地を借りていた。町は19年、二つの業者に除草を依頼した。


(2024/3/3 琉球新報

住宅購入は「年収900万円あれば」 20代の金銭感覚を調査

SMBCコンシューマーファイナンス(東京都江東区)はこのほど、20代の男女を対象に「金銭感覚についての意識調査」を実施し、その結果を発表した。

『住宅を購入しようと思える世帯年収額』を聞いたところ、前回調査では「800万円以上あれば」までの合計で半数を超えていたのに対し、今回調査では半数以上がイメージできるのが「900万円以上あれば」(52.7%)となり、ハードルが上がる結果となった。なお、「年収がどんなに多くても購入したいと思えない」と答えた人が25.5%と最も多かった。次いで「年収1000万円以上あれば」となった。

『結婚しようと思える世帯年収額』を聞いたところ、「年収400万円あれば」までの合計が29.1%、「年収500万円あれば」までの合計が45.2%、「年収600万円あれば」までの合計が56.1%となり、20代の半数以上が結婚をイメージできるのは年収600万円であることがわかった。また、「年収がどんなに多くてもしたいと思えない」は21.8%となった。

『出産・子育て(1人)しようと思える世帯年収額』を聞いたところ、半数以上がイメージできるのは、前回調査と同様「年収700万円」(51.4%)となった。また、「年収がどんなに多くても、したいと思えない」と答えた人の割合は、前回調査では19.5%だったのに対し、今回調査では24.3%と、4.8ポイント上昇した。

調査期間は2023年12月13日~15日。調査対象は20歳~29歳の男女1000人。

(2024/2/28 新建ハウジングWeb)

進化した大林組の耐火被覆吹き付けロボ、「後方交会法」で停止位置誤差5mm以内

 大林組は、鉄骨造の梁(はり)や柱にロックウールを自動で施工する「耐火被覆吹き付けロボット」の新型機を開発した。既に同社が手掛ける東京都内の建設現場に導入している。2024年1月29日に発表した。同社は19年に初号機を開発しており、30階建てのビルなど4件の建築工事の現場で実績を積んできた。現場で得た知見を基に初号機へ改良を加えたのが今回の新型機だ。

大林組が開発した新型の耐火被覆吹き付けロボット。階高5.5m以下で、梁せい1.5m以下の梁に耐火被覆を吹き付けられる。新型機は2台製作した。ロボットの価格は公表していない(写真:大林組)
大林組が開発した新型の耐火被覆吹き付けロボット。階高5.5m以下で、梁せい1.5m以下の梁に耐火被覆を吹き付けられる。新型機は2台製作した。ロボットの価格は公表していない(写真:大林組
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 新型機の構成や自律走行機能は初号機と同じ。ロボットは走行装置や制御軸数が6軸のロボットアームなどから成る。事前に作業データを登録すれば、データを基に現場内を自律走行して自ら作業をこなす。

 改良した点は主に2つある。自律走行の精度とロボットの小型・軽量化だ。

 自律走行の精度を高めるため、ロボットの停止位置を決める際に「後方交会法」と呼ばれる測量法を新たに採用した。基準となるターゲットを2カ所設置し、ロボットに搭載した計測ユニットでターゲットを観測してロボットの停止位置を算出する。計測ユニットはレーザー距離計とカメラ、回転台で構成する。

後方交会法でロボットの停止位置を求める。2重丸が書かれた2つの看板が基準点となるターゲット(写真:大林組)
後方交会法でロボットの停止位置を求める。2重丸が書かれた2つの看板が基準点となるターゲット(写真:大林組
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写真中央部がロボット前方に新搭載した計測ユニット(写真:大林組)
写真中央部がロボット前方に新搭載した計測ユニット(写真:大林組
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(2024/2/26 日経XTECH) 

「SE構法」建物の被害調査 倒壊・半壊なし―能登地震

エヌ・シー・エヌ(東京都千代田区)は、1月1日に発生した能登半島地震における、「SE構法」による建築物の被害状況について調査を行った。

調査対象は、住宅への被害が多く見られた石川県、新潟県富山県において、2023年12月末までに「SE構法」にてプレカット出荷の実績がある物件612棟(石川県:68棟、新潟県:406棟、富山県:138棟)。

調査に当たっては、各地の最大震度と被害報告をもとに、独自に「住宅の倒壊など被害の大きいエリア(以下、被害大)」、「住宅の一部破損が多いエリア(以下、一部被害)」、「被害の少ないエリア(以下、被害少)」の3段階のエリアに分類。各県のエリアごとのSE構法物件数は、石川県が「被害大」16棟、「一部被害」29棟、「被害少」23棟。新潟県が「被害大」0棟、「一部被害」175棟、「被害少」231棟。富山県が「被害大」0棟、「一部被害」16棟、「被害少」122棟。

調査の結果、3県のSE構法物件612棟の被害状況については、住宅の倒壊など被害の大きいエリアも含め、「倒壊」、「大規模半壊」、「半壊」に関する報告はなかった。新潟県において、「一部損傷」に関する報告が1棟あったが、当該建物は新潟市内の液状化による基礎の傾きを確認したもので、SE構法の構造躯体への損傷は報告されず補修可能な建物だという。また、富山県において、基礎の軽微なひび割れと玄関タイルの剥がれという、構造躯体には影響のない2件の軽微な損傷の報告があった。

SE構法は、従来、鉄骨造やRC造において主流だったラーメン構法を木造住宅に取り入れ、安全かつ便利に利用できるようにシステム化した同社独自の木造建築システム。1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに、大規模な木造建築物の技術を基に開発された技術で、強靭な耐震性の高さに加えて従来の在来工法では実現が難しい大空間の実現などが特長となっている。これまで、605社の工務店を通じて延べ2万9000棟を超える木造住宅を全国に提供。東日本大震災熊本地震ほか、これまでに各地で発生した地震での、倒壊・半壊はないという。

(2024/2/22 新建ハウジングWeb)

省エネ審査で確認申請が変わる、設計業務の前倒しは必至

国土交通省は全国で実務講習会を開催し、省エネ基準適合義務化制度や確認申請の手続きなどを解説している。その内容から、建築実務者への影響が見えてきた。多くの設計者が業務の前倒しを迫られる。

 「会場では受講できなかった。受付開始から1時間足らずで満員になった」。国土交通省が2023年11月から24年2月に全国で開催した「実務者講習会」には、多くの建築実務者が詰めかけた。国交省は、講演の動画を配信して、会場で受講できなかった実務者をフォローする。

 講習の主な内容は、省エネ適判を建築確認に組み込んだ手続きの流れなどだ。省エネ適判を受ける場合、省エネ適判機関から交付される省エネ適合判定通知書を確認検査機関などに提出すれば実質的な省エネ審査が終わる。省エネ適判手続きを省略する場合は、確認審査の中で省エネ基準への適合が確認されることになる〔図1〕。省エネ適合判定通知書は、住宅性能表示制度の設計性能評価書で代替できる見通しだ。

〔図1〕省エネ審査の手続きは2パターン
〔図1〕省エネ審査の手続きは2パターン
法施行後の建築確認手続きの流れ。左は省エネ適判が必要な場合。省エネ適判機関などが交付する省エネ適合判定通知書を、指定確認検査機関などに提出する必要がある。右は、仕様基準など、省エネ適判が要らない場合。確認審査の中で省エネ基準への適合が確認される(資料:国土交通省の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 設計者からは、「設計業務のフローを見直す必要がある」との声が上がっている。現状、確認申請後に設計性能評価書を取得している住宅会社が多いからだ。

 埼玉県を中心に戸建て住宅を供給する住協グループの住協建設(狭山市)もその1つ。同社設計部の内藤豊光次長は「設計性能評価書を確認申請の前に取得するには、設備も含めて設計内容を確定する必要がある。建て主との打ち合わせを大幅に前倒ししなければならない」と語る。

(2024/2/22 日経XTECH)