WOODY調査士の情報通

登記・測量、住宅、不動産の情報をかき集めています。

「事業にマイナスの影響」が8割、建設業2024年問題で主要建設会社に緊急調査

 建設業に時間外労働の上限規制が適用される「2024年問題」。2024年4月からの規制適用を間近に控えた2月上旬から中旬にかけて、日経クロステックは主要な建設会社42社にアンケート調査を実施。労働環境改善という大義には賛同しつつも、約8割の企業が事業にマイナスの影響があると考えていることが分かった。

 まずは時間外労働の上限規制の内容を確認しておこう。労働基準法では、時間外労働を原則「月45時間」かつ「年360時間」に制限している。この制限を超える場合は、特別条項付きの36(さぶろく)協定を労使間で結ぶ必要がある。もっとも、これまでは協定を結べば無制限に時間外労働ができるような状態だった。

時間外労働の上限規制の概要(出所:厚生労働省の資料を基に日経クロステックが作成)
時間外労働の上限規制の概要(出所:厚生労働省の資料を基に日経クロステックが作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 そこで、18年成立の働き方改革関連法で設けられたのが「月100時間」「複数月平均80時間」「年720時間」という上限だ。さらに、月45時間を超える月は年6回までに制限された。24年4月以降、災害時における復旧・復興事業を除いて、建設業にもこうした規制が適用される。違反すると6月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される恐れがあるため、建設会社は数年前から対応を進めてきた。しかし、いまだに規制をクリアするめどが立たず、気をもむ企業も少なくない。

 こうした規制が、自社の事業に与える影響について尋ねたところ、回答した30社のうち20%が「マイナスの影響がある」、57%が「どちらかといえばマイナスの影響がある」と回答。約8割が、2024年問題の及ぼすマイナスの影響を懸念していることが分かる。

Q.2024年問題が事業に与える影響は?
Q.2024年問題が事業に与える影響は?
「建設業の2024年問題」が事業に与える影響について尋ねた。約8割がマイナスの影響があると捉えている(出所:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 一方、「プラスの影響がある」は3%、「どちらかといえばプラスの影響がある」は7%で、事業への好影響を期待する企業は約1割にとどまった。「影響はない」との回答は13%だった。

 調査は、建築専門誌「日経アーキテクチュア」が毎年実施している経営動向調査の建設会社決算ランキングにおいて、22年度の建築売上高(単体)が500億円以上だった計42社が対象。24年2月19日までに計31社から回答を得た。

(2024/3/7 日経XTECH)