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太陽電池を内蔵した窓ガラス設置が容易に…1週間かかった交換作業が40分で終了、大成建設が工法開発

大成建設とカネカが共同開発した太陽電池内蔵の窓ガラス=大成建設提供© 読売新聞

 大成建設は、太陽電池を内蔵した窓ガラスを設置しやすくする工法を開発した。窓枠の寸法に応じて専用のアタッチメントを付けた状態で納入し、約1週間かかっていた交換作業が40分程度で終わるという。オフィスビルなどの設置を想定し、脱炭素社会の実現に向けて企業の再生可能エネルギー導入を後押しする。

 建物に太陽光パネルを設置する場合、屋上はスペースが限られるため外壁や窓の活用が注目されている。太陽が低い位置になっても、オフィスビルなど建物が高層になるほど発電量を増やせるためだ。

 新たな工法では、既存の窓枠に合うように専用のアタッチメントを設計する。配線ケーブルを格納しており、建物内の配線工事は必要だが、通常の窓ガラス交換と同様に作業できてコストを抑えられる。

 大成建設は2019年に太陽電池を内蔵した窓ガラスを化学大手カネカと共同開発し、自社ビルに導入した。ただ、既存の建物に設置する場合は窓枠を交換する必要があり、大がかりな改修工事が必要だった。

 太陽電池と一体化した窓ガラスは2種類ある。11階建てビルに設置した場合、屋上に太陽光パネルを敷いた場合と比べて約5倍の発電量が見込めると試算されている。

(2024/2/20 読売新聞)

深刻さ増す建設業の人手不足 賃上げ実施は6割―日商調査

日本商工会議所東京商工会議所は2月14日、「中小企業の人手不足、 賃金・最低賃金に関する調査」 の集計結果を発表した。

同調査は、中小企業における人手不足や賃上げの状況、最低賃金引き上げの影響について実態を把握し、意見や要望を同所の活動に生かすことを目的に、2024年1月4日から26日、全国の中小企業6013社を対象に行われた。回答率は49.7%で2988社。このうち、建設業で回答したのは全体の17.3%に当たる516社だった。

「人手が不足している」と回答した企業は65.6%で、3社のうち2社が人手不足の状況であることがわかった。「2024年問題」への対応が求められる建設業については78.9%が人手不足と回答しており、業種別では最も厳しい状況が明らかになった。

人手不足への対応としては、「非正規社員を含めて採用活動を強化する」が8割超えで、最多。生産年齢人口が減少する中、省力化や多様な人材の活躍などの取り組みが求められるが、「事業のスリム化、ムダの排除、外注の活用」は39.1%で、「女性・高齢者・外国人材など多様な人材の活躍推進」は37.3%と4割弱にとどまった。

半数以上が「防衛的賃上げ」

賃上げに取り組む企業は全体的に増加しており、2024年度に「賃上げを実施予定」と回答した企業の割合は、6割を超えた。ただし、そのうち「業績の改善がみられないが賃上げを実施する予定」の企業は60.3%であり、半数以上が「防衛的賃上げ」をする予定であることがわかった。

「賃上げを実施予定」と回答した企業の割合は、介護・看護業(66.7%)が最も多く、次が製造業(64.2%)、3位に建設業(63.4%)が続いている。建設業では、そのうち60.9%が「防衛的な賃上げ」と回答している。

賃上げ率の見通しについては、「3%以上」とする企業が4割近くに達し、「5%以上」との回答も1割。「3%以上」と回答した企業の割合は、宿泊・飲食業(46.3%)、その他サービス業(39.9%)で4割前後に達し、コロナ禍の影響を強く受けた業種で業況の回復がうかがえる。建設業は、35.1%にとどまった。

業績の改善がみられない中でも賃上げをする「防衛的賃上げ」をする理由として、8割近い企業が「人材の確保・採用」を挙げている。一方、「賃上げを見送る」理由は、「売上の低迷」が55.9%と最多となっている。

2023年10月の最低賃金の引き上げを受け、「最低賃金を下回ったため、賃金を引き上げた」と回答した企業は38.4%と4割近く。一方、人手不足や物価上昇が進む中、「最低賃金を上回っていたが、賃金を引上げた」とした企業は29.8%と、昨年度から5.2ポイント増え、2017年の調査開始以来で最も高い割合を示した。業種別でみると、介護・看護業が最も高い61.5%、次に宿泊・飲食業が58.7%で、建設業は19.2%にとどまった。

現在の最低賃金について、「負担になっている」と回答した企業は65.7%で、昨年度から10.6ポイント増加した。負担感が一番強かったのが宿泊・飲食業の88.3%で、建設業は50.8%と半数を超えた。

最低賃金を下回ったため賃金を引上げた従業員の属性は、パートタイム労働者が83.3%で最多。人件費が増加したことに対して、どのような具体策をとったのかについては、「具体的な対応が取れず、収益を圧迫している」との回答が26.2%もあった。「原材料費等増加分の製品・サービス価格への転嫁」(26.4%)「人件費増加分の製品・サービス価格への転嫁」(25.1%)と価格への転嫁による対応も同程度、見られた。

2024年度の最低賃金改定に対する考えとしては、「引き下げるべき」もしくは「引上げはせずに、現状の金額を維持すべき」と回答した企業は41.7%で、昨年度から8.0ポイント増加しており、過去最高の最低賃金の引き上げの影響があったことが見受けられる。一方、「引き上げるべき」との回答も、同じく41.7%で昨年度に続き、4割を超えている。

(2024/2/19 新建ハウジングWeb)

成年後見人の一時利用可能に、法制審に諮問 現在は終身

小泉龍司法相は13日の記者会見で、認知症などの人に代わって財産管理を担う成年後見制度の見直しを15日の法制審議会(法相の諮問機関)総会へ諮問すると表明する。

 
 

一度選任すると原則として亡くなるまで利用をやめられない現行制度を改め、期間限定で選任できる仕組みなどを検討する。法制審での議論を踏まえ、2026年度までに民法などの関連法改正を目指す。

成年後見制度は判断能力が不十分な人に代わって後見人が預貯金の管理や契約を支援するもの。悪徳商法から保護する目的もある。親族のほか司法書士社会福祉士、弁護士といった専門家が後見人に就く。

いまは判断能力が回復しない限りは利用をやめることができない。後見人の著しい不正がない限りは解任もしにくい。専門家を後見人にする場合は毎月数万円の報酬を払わなければならず負担が重いとの指摘を踏まえて見直しを検討する。

後見人が支援する行為の範囲を限定することも論点となる。いまは日常的な買い物や旅行から財産管理まで包括的な活動が対象となる。必要とする支援の範囲を事前に定めたり、状況によって後見人を交代できたりする制度を導入する案がある。

例えば、日常的な行為は本人の決定に任せつつ、財産管理のときは弁護士、福祉施設へ入居する際は社会福祉士に依頼するといった形だ。

厚生労働省によると成年後見制度の利用者数は2022年末時点で25万人ほど。認知症患者が25年には推計700万人以上になるのと比べて利用が広がっていない。

認知症患者は今後も増えていく見通しで、政府は成年後見制度の普及を急ぐ。利用するための経済的な負担を減らし、柔軟に選任できるようにする方向で制度の使いやすさ改善を探る。

(2024/2/13 日本経済新聞

建てたい家、半数が「在来工法の木造戸建」―内閣府調査

内閣府が2月2日に公表した「森林と生活に関する世論調査」によると、住宅を購入する場合に「木造」「非木造」のどちらを選ぶかを尋ねたところ、全体の7割が「木造戸建」を選択。全体の約半数が「在来工法の木造による戸建住宅」を、約2割が「ツーバイフォー工法など在来工法以外の木造による戸建住宅」を選んだことが分かった。

(2024/2/9 新建ハウジングWeb)

地盤沈下70センチの恐れ! 大阪万博の「惨憺たる現場」を見た

 2025年4月に開幕予定の大阪・関西万博を巡り、会場となる大阪湾の人工島・夢洲の地盤が最大で70センチ近く沈下する危険性のあることが、ノンフィクション作家・森功氏の取材で分かった。会場建設にあたっている関係者たちは危機感を募らせている。

災いとなった「盛土」

 夢洲は元々、大阪湾の人工島として作られた埋め立て地だ。現在、海外からの参加国や企業のパビリオンなどに加え、万博のシンボルとされる「大屋根(木製リング)」の建設工事も進められている。木製リングの建設は3つの工区に分けて入札が行われ、2022年7月に落札したのが、それぞれ大林組清水建設竹中工務店が代表となる3つのJV(共同企業体)である。

建設途中の会場 ©共同通信社© 文春オンライン

 地盤沈下を引き起こす原因となるのが、夢洲で行われた「盛土」だという。森氏は記事の中でこう指摘している。

〈リングは大林組が会場入り口付近の北東工区、清水建設が海側の南東工区、竹中工務店がそれをつなぐ西工区を受注している。博覧会協会関係者が説明する。

「東京のお台場などと違って大阪湾の夢洲は埋め立ての歴史が浅く、地盤が弱い。そのため22年春に盛土をして造成したのですが、それが逆に災いした。新たな土を入れたため、より一層沈下の進む恐れが出てきたのです。それをゼネコン側に指摘され、10月に調査しました」〉

柱の基礎が大きく揺らぐ

 3つの工区のうち、大林組の「北東工区」は内陸に位置するため、1センチ程度の沈下で済む見通しだったという。ところが、清水建設の「南東工区」と竹中工務店の「西工区」では、衝撃的な数字が出た。

〈23年4月から24年末までの1年半の工事の期間中、実に70センチ近くも地盤沈下する危険性があるというのである。もともと南東工区の清水建設は海中の地盤に杭を打ち込む工法を認められてきたため、地盤が沈んでもリングの柱が傾くことはない。だが、竹中工務店が受注した陸上の西工区では、柱の基礎が大きく揺らぐことになる。〉

協会に見解を求めると…

 これを受けて竹中工務店側は、地中に杭を打つ工法に切り替えたいと申し出たという。だが、結局、時間的な余裕がなかったために、特殊な工具を使ったジャッキアップなどにより対応することになった。ただし、木製リングの入札時には想定されていなかった工法を使うことになったことで、結果として過大なコスト増加につながってしまったという。

 博覧会協会に対し、地盤沈下についての事実確認と安全性についての見解を求めると、次のように回答した。

〈会場内は大阪市が埋め立てによる土地造成工事を実施しています。埋め立て完了後しばらくの間は沈下することが通常です。

 このため協会としては、2022年4月に大阪市から引き継いだ会場の造成工事を計画する際に、大阪市埋立地の沈下予測を活用し、新しい沈下量の実測値を踏まえ、将来沈下量を推計したもので、これに基づき、22年10月から造成工事を実施しています。

建物の沈下対策としては、設計に係るガイドラインにおいて、建築物等による地盤沈下を抑制するため、新たな上載荷重を加えない基礎形式として浮き基礎等で計画することを推奨しており、建物の設計段階で沈下抑制に配慮するなどにより、安全面の懸念はないものと考えています。

 なお、沈下量は継続して測定しており、現時点では大きな問題は発生していません。〉

 2月9日発売の「文藝春秋」3月号及び、「 文藝春秋 電子版 」(2月8日配信)に掲載した森氏の記事「 大阪万博のデタラメ発注を暴く 」では、地盤沈下以外にも、リングが落札された時点で抱えていた構造設計上の問題についても指摘されている。また、井上信治氏や若宮健嗣氏ら歴代の万博担当大臣に加え、馬場伸幸代表や遠藤敬国対委員長をはじめ、万博の旗振り役を担ってきた日本維新の会の幹部議員にも、なぜ会場建設が遅れているのかなど、大阪万博を巡る多くの問題点を問いただしている。

「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2024年3月号)

愛知・弥富の土地明け渡し訴訟 市議の控訴棄却 市主張境界を認定

マンションの擁壁(左)によって不法占用され狭くなっている水路用地=愛知県弥富市平島町中新田で2020年2月28日午後2時17分、川瀬慎一朗撮影© 毎日新聞 提供

 愛知県弥富市の大原功市議(81)が市有地を不法占用しマンション擁壁などを建てているとして、市が土地明け渡しを求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁は1日、大原市議に擁壁やフェンスを撤去して市に土地を明け渡し、土地使用料など約175万円を市に支払うよう命じた1審判決を支持し、市議側の控訴を棄却した。

 大原市議は2007年にマンションを建設。市は隣接する水路用地に擁壁がはみ出しているとして移設を求めたが、市議は「境界確認に立ち会っていない」と主張して提訴し、市側が反訴していた。長谷川恭弘裁判長は1審・名古屋地裁判決と同様に、「市主張の境界線を認めるのが相当」として、土地使用料に相当する金額などの支払いを命じた。

 判決後、大原市議は取材に「擁壁は取り壊すつもりだが、上告はしたい」と話した。敗訴すれば議員辞職する意思を示していたが、「29日に任期満了を迎え、次(の選挙)は出馬しない」とした。

(2024/2/1 毎日新聞

通行料要求、バリケード封鎖…長崎の私道訴訟が和解 住民ら通行可に

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奥の市道との行き来を封鎖された私道(手前)=長崎市青山町で2019年10月10日

 

 長崎市青山町の住民が住宅団地の私道を所有する業者に通行権の確認などを求めた訴訟が29日、長崎地裁で和解が成立した。住民側弁護士によると、私道の所有権を地元自治会に移すなどの内容。住民の他、介護や宅配の業者、ごみ収集車、タクシーなどの第三者も通行できるようになった。

 訴状などによると、私道は総延長約700メートルで住民らが50年近く利用してきた。2018年11月、前所有者の会社整理に伴い、福岡県の業者が取得。業者は市に私道の寄付を申し入れたが、市道の基準を満たすには整備が必要とされた。業者は自治会に私道の買い取りを提案したが金額面で折り合わず、住民に通行料を請求。私道の一部は「進入禁止」の札を掲げたバリケードで一時封鎖された。

(2024/1/31 毎日新聞