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隣人なぜ通報? 住宅工事の近隣トラブル4選

 住宅の新築やリフォームの工事は、近隣住民にとって快いものではありません。現場に見知らぬ職人が出入りする他、作業に伴う騒音や粉じんも発生します。つくり手が対応を誤れば、近隣住民とのトラブルに発展する恐れがあります。

 今回は、住宅工事を巡る近隣紛争を取り上げます。つくり手が事前に想定しにくいトラブルもあります。つくり手は現場のリスクに対する感度を磨く必要があります。紹介する記事4本は、2023年7月12~18日に無料で読めるようにしました。

(イラスト:勝田 登司夫)
(イラスト:勝田 登司夫)
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 1本目は、自宅の建て替え工事で隣人との関係がぎくしゃくしたケース。建て主が工事中にご機嫌伺いで隣の家を訪ねると、付き合いの長い隣人がいつになくよそよそしい態度で応じました。

 建て主がふと辺りを見ると、自宅との境界にある隣家のブロック塀に真新しい補修の跡がありました。現場監督によると、古い家の解体直後に隣家の塀の傷に気付いたので補修したとのこと。建て主には後で伝えればよいと考えていたそうです。

 2本目は、つくり手がよかれと思ってしたことが隣家のクレームを招いたケース。「お宅の職人が家の中をのぞいている」。リフォーム工事を請け負った工務店の社長は、隣家の住民からそんな苦情を受けました。職人はその日の夕方、作業を終えた後に、隣家の前の道路をくまなく掃除して帰ったのです。

 3本目は、近隣住民の通報で警察沙汰になったケース。その住宅工事の現場では、顧客の要望で日曜日の朝8時に上棟の作業を始めました。2時間ほど過ぎたころ、パトカーがサイレンを鳴らしながら現場に現れました。

 「休日に工事とは、労働基準法違反ではないか」。そんな通報が住民から寄せられたというのです。工務店の社長は工事前、現場周辺に挨拶回りをしました。近所の人は皆、感じよく対応してくれました。社長にとって住民の通報は意外でした。

 4本目は、給湯器の騒音問題で裁判沙汰になったケース。新築住宅に設置したエコキュート(ヒートポンプ式給湯器)の運転音を巡り、隣家の住民が不眠に陥ったと主張し、メーカーと住宅会社を相手取り、損害賠償を求める訴訟を起こしました。

 「自動車のアイドリング時のエンジンのような音が、振動を伴って聞こえてきた」。妻と共に不眠で体調を崩した隣人は、そう訴えています。

 エコキュートの運転音の大きさは、メーカー側の資料では40デシベル程度でした。しかし、隣人側が測定した運転音を分析すると、低周波音とされる周波数25ヘルツと40ヘルツでの音量が特に大きく、それぞれ50デシベル強に達していました。 

(2023/7/12  日経XTECH)