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長期優良住宅の認定16件を取り消し、北九州市内の住宅会社が虚偽申請

 北九州市は2022年2月8日、住宅会社で1級建築士事務所のクレスト・ホーム (北九州市)が建て主の代理で申請手続きをした長期優良住宅の認定16件を同月4日付で取り消したと発表した。

北九州市は長期優良住宅の認定取り消しについて2022年2月8日に発表した(資料:北九州市)
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北九州市は長期優良住宅の認定取り消しについて2022年2月8日に発表した(資料:北九州市

 市建築指導課によると、同社は住宅を着工した後に、認定の申請をしていた。長期優良住宅の認定申請は着工前にしなければならないため、市は違法な申請であると判断した。市内で認定を取り消したのは初めてだという。

 不正は意外なところから露見した。建て主が税制面の優遇を受けるため、市の固定資産税課に必要書類を提出したところ、同課に長期優良住宅の認定記録が届いていなかったのだ。

 同課から問い合わせを受けた市建築指導課は疑念を抱いた。この住宅は認定申請を提出したばかりなのに、登記後でなければできない手続きを建て主がするのは変だ──。そこで書類の住所を訪ねると、既に住宅は完成していた。

 市建築指導課がクレスト・ホームに事情を聞いたところ、21年10月22日に提出した認定申請書に着工予定日を「21年10月25日」と記していたにもかかわらず、実際には3カ月以上前に着工していたことが判明した。

 市は、ほかの物件でも事前着工をしていた疑いがあるとみて、同社に対して過去に認定を取得した計35件に関する調査報告書を求めると同時に、建築計画概要書の記載履歴とも突き合わせた。その結果、全体の5割弱に当たる16件で、同様の手口を用いて違法に認定を取得していたことが分かった。時期は19年が5件、20年が6件、21年が5件だ。

 長期優良住宅の認定に当たっては、申請書に着工予定日を記載するだけで、記載通りに着工したかチェックする制度はない。認定申請を受け付ける際に、建築確認申請の内容と照合することも通常はないため、その時点で問題があることは分からなかった。

 市は16件について、安全上の問題はないと判断している。クレスト・ホームと虚偽申請をした同社の建築士に対する処分は、福岡県が関係者に事情聴取したうえで判断するという。

(2022/3/4 日経XTECH)