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国交省の職員自ら統計データ書き換え、第三者委で1カ月以内に検証

 国土交通省による受注統計のデータ書き換え問題で、同省の職員が自ら作業をしていたことが分かった。会計検査院の指摘を受け、不適切な集計処理だと認識した後も、1年以上にわたって書き換えを続けていた。2021年12月16日の参院予算委員会で、斉藤鉄夫国交相が明らかにした。

東京・霞が関の国土交通省の庁舎(写真:日経コンストラクション)
東京・霞が関国土交通省の庁舎(写真:日経コンストラクション)
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 この問題を巡っては、国交省が毎月公表する「建設工事受注動態統計調査」で、建設会社の調査票を取りまとめる都道府県に対し、受注実績の書き換えを指示していた。提出期限に間に合わなかった建設会社が数カ月分をまとめて出した場合、過去の月のデータを提出時の月(直近の月)のデータと合算するよう、都道府県に要請。その書き換えデータを基に集計していた。

 斉藤国交相によると、国交省は19年11月ごろに会計検査院の指摘を受けた後、都道府県への指示を撤回。20年1月から集計方法を改めた。しかし、従来の手法で集計していた19年度との比較ができなくなるとの理由で、同省の職員が21年3月まで自ら書き換えを行っていた。この1年3カ月の間、新旧2つの手法でデータを集計し、双方のデータをホームページで公表した。推計方法を見直した21年4月以降は、職員によるデータの書き換えもやめたという。

 受注動態調査における建設会社の調査票は、法的には公用文書に当たる。立憲民主党白真勲氏が「公用文書の書き換えは法律違反にならないのか」とただすと、総務省の吉開正治郎政策統括官は「(調査票のデータを)消しゴムで消していいのかということであれば、どういう目的でそういう行為が行われたのかも確認しなければならないが、一般論として適切ではない可能性がある」と答えた。

 白氏が「一般論として公用文書の書き換えは法律違反か」と食い下がると、吉開氏は「一般論としていえば、公文書管理法違反になる」との見解を示した。白氏が「法律違反を国交省がやっていたら、より悪質ではないか」と問うと、斉藤国交相は次のように釈明した。

 「従来の方法で行っていた19年度の統計を意味があるようにするために、20年度も同じ手法でデータを処理する必要がある。そういう統計学的な必要性もあり、それまで都道府県にお願いしていた作業を国交省で行った。もしやらなかったとしたら、19年度と20年度の間に大きな断絶があって比較ができなくなる。そういうことも含めて、第三者委員会でしっかり検証してもらいたい」

(2021/12/17 日経コンストラクション)