WOODY調査士の情報通

登記・測量、住宅、不動産の情報をかき集めています。

進化した大林組の耐火被覆吹き付けロボ、「後方交会法」で停止位置誤差5mm以内

 大林組は、鉄骨造の梁(はり)や柱にロックウールを自動で施工する「耐火被覆吹き付けロボット」の新型機を開発した。既に同社が手掛ける東京都内の建設現場に導入している。2024年1月29日に発表した。同社は19年に初号機を開発しており、30階建てのビルなど4件の建築工事の現場で実績を積んできた。現場で得た知見を基に初号機へ改良を加えたのが今回の新型機だ。

大林組が開発した新型の耐火被覆吹き付けロボット。階高5.5m以下で、梁せい1.5m以下の梁に耐火被覆を吹き付けられる。新型機は2台製作した。ロボットの価格は公表していない(写真:大林組)
大林組が開発した新型の耐火被覆吹き付けロボット。階高5.5m以下で、梁せい1.5m以下の梁に耐火被覆を吹き付けられる。新型機は2台製作した。ロボットの価格は公表していない(写真:大林組
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 新型機の構成や自律走行機能は初号機と同じ。ロボットは走行装置や制御軸数が6軸のロボットアームなどから成る。事前に作業データを登録すれば、データを基に現場内を自律走行して自ら作業をこなす。

 改良した点は主に2つある。自律走行の精度とロボットの小型・軽量化だ。

 自律走行の精度を高めるため、ロボットの停止位置を決める際に「後方交会法」と呼ばれる測量法を新たに採用した。基準となるターゲットを2カ所設置し、ロボットに搭載した計測ユニットでターゲットを観測してロボットの停止位置を算出する。計測ユニットはレーザー距離計とカメラ、回転台で構成する。

後方交会法でロボットの停止位置を求める。2重丸が書かれた2つの看板が基準点となるターゲット(写真:大林組)
後方交会法でロボットの停止位置を求める。2重丸が書かれた2つの看板が基準点となるターゲット(写真:大林組
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写真中央部がロボット前方に新搭載した計測ユニット(写真:大林組)
写真中央部がロボット前方に新搭載した計測ユニット(写真:大林組
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(2024/2/26 日経XTECH) 

「SE構法」建物の被害調査 倒壊・半壊なし―能登地震

エヌ・シー・エヌ(東京都千代田区)は、1月1日に発生した能登半島地震における、「SE構法」による建築物の被害状況について調査を行った。

調査対象は、住宅への被害が多く見られた石川県、新潟県富山県において、2023年12月末までに「SE構法」にてプレカット出荷の実績がある物件612棟(石川県:68棟、新潟県:406棟、富山県:138棟)。

調査に当たっては、各地の最大震度と被害報告をもとに、独自に「住宅の倒壊など被害の大きいエリア(以下、被害大)」、「住宅の一部破損が多いエリア(以下、一部被害)」、「被害の少ないエリア(以下、被害少)」の3段階のエリアに分類。各県のエリアごとのSE構法物件数は、石川県が「被害大」16棟、「一部被害」29棟、「被害少」23棟。新潟県が「被害大」0棟、「一部被害」175棟、「被害少」231棟。富山県が「被害大」0棟、「一部被害」16棟、「被害少」122棟。

調査の結果、3県のSE構法物件612棟の被害状況については、住宅の倒壊など被害の大きいエリアも含め、「倒壊」、「大規模半壊」、「半壊」に関する報告はなかった。新潟県において、「一部損傷」に関する報告が1棟あったが、当該建物は新潟市内の液状化による基礎の傾きを確認したもので、SE構法の構造躯体への損傷は報告されず補修可能な建物だという。また、富山県において、基礎の軽微なひび割れと玄関タイルの剥がれという、構造躯体には影響のない2件の軽微な損傷の報告があった。

SE構法は、従来、鉄骨造やRC造において主流だったラーメン構法を木造住宅に取り入れ、安全かつ便利に利用できるようにシステム化した同社独自の木造建築システム。1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに、大規模な木造建築物の技術を基に開発された技術で、強靭な耐震性の高さに加えて従来の在来工法では実現が難しい大空間の実現などが特長となっている。これまで、605社の工務店を通じて延べ2万9000棟を超える木造住宅を全国に提供。東日本大震災熊本地震ほか、これまでに各地で発生した地震での、倒壊・半壊はないという。

(2024/2/22 新建ハウジングWeb)

省エネ審査で確認申請が変わる、設計業務の前倒しは必至

国土交通省は全国で実務講習会を開催し、省エネ基準適合義務化制度や確認申請の手続きなどを解説している。その内容から、建築実務者への影響が見えてきた。多くの設計者が業務の前倒しを迫られる。

 「会場では受講できなかった。受付開始から1時間足らずで満員になった」。国土交通省が2023年11月から24年2月に全国で開催した「実務者講習会」には、多くの建築実務者が詰めかけた。国交省は、講演の動画を配信して、会場で受講できなかった実務者をフォローする。

 講習の主な内容は、省エネ適判を建築確認に組み込んだ手続きの流れなどだ。省エネ適判を受ける場合、省エネ適判機関から交付される省エネ適合判定通知書を確認検査機関などに提出すれば実質的な省エネ審査が終わる。省エネ適判手続きを省略する場合は、確認審査の中で省エネ基準への適合が確認されることになる〔図1〕。省エネ適合判定通知書は、住宅性能表示制度の設計性能評価書で代替できる見通しだ。

〔図1〕省エネ審査の手続きは2パターン
〔図1〕省エネ審査の手続きは2パターン
法施行後の建築確認手続きの流れ。左は省エネ適判が必要な場合。省エネ適判機関などが交付する省エネ適合判定通知書を、指定確認検査機関などに提出する必要がある。右は、仕様基準など、省エネ適判が要らない場合。確認審査の中で省エネ基準への適合が確認される(資料:国土交通省の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 設計者からは、「設計業務のフローを見直す必要がある」との声が上がっている。現状、確認申請後に設計性能評価書を取得している住宅会社が多いからだ。

 埼玉県を中心に戸建て住宅を供給する住協グループの住協建設(狭山市)もその1つ。同社設計部の内藤豊光次長は「設計性能評価書を確認申請の前に取得するには、設備も含めて設計内容を確定する必要がある。建て主との打ち合わせを大幅に前倒ししなければならない」と語る。

(2024/2/22 日経XTECH)

太陽電池を内蔵した窓ガラス設置が容易に…1週間かかった交換作業が40分で終了、大成建設が工法開発

大成建設とカネカが共同開発した太陽電池内蔵の窓ガラス=大成建設提供© 読売新聞

 大成建設は、太陽電池を内蔵した窓ガラスを設置しやすくする工法を開発した。窓枠の寸法に応じて専用のアタッチメントを付けた状態で納入し、約1週間かかっていた交換作業が40分程度で終わるという。オフィスビルなどの設置を想定し、脱炭素社会の実現に向けて企業の再生可能エネルギー導入を後押しする。

 建物に太陽光パネルを設置する場合、屋上はスペースが限られるため外壁や窓の活用が注目されている。太陽が低い位置になっても、オフィスビルなど建物が高層になるほど発電量を増やせるためだ。

 新たな工法では、既存の窓枠に合うように専用のアタッチメントを設計する。配線ケーブルを格納しており、建物内の配線工事は必要だが、通常の窓ガラス交換と同様に作業できてコストを抑えられる。

 大成建設は2019年に太陽電池を内蔵した窓ガラスを化学大手カネカと共同開発し、自社ビルに導入した。ただ、既存の建物に設置する場合は窓枠を交換する必要があり、大がかりな改修工事が必要だった。

 太陽電池と一体化した窓ガラスは2種類ある。11階建てビルに設置した場合、屋上に太陽光パネルを敷いた場合と比べて約5倍の発電量が見込めると試算されている。

(2024/2/20 読売新聞)

深刻さ増す建設業の人手不足 賃上げ実施は6割―日商調査

日本商工会議所東京商工会議所は2月14日、「中小企業の人手不足、 賃金・最低賃金に関する調査」 の集計結果を発表した。

同調査は、中小企業における人手不足や賃上げの状況、最低賃金引き上げの影響について実態を把握し、意見や要望を同所の活動に生かすことを目的に、2024年1月4日から26日、全国の中小企業6013社を対象に行われた。回答率は49.7%で2988社。このうち、建設業で回答したのは全体の17.3%に当たる516社だった。

「人手が不足している」と回答した企業は65.6%で、3社のうち2社が人手不足の状況であることがわかった。「2024年問題」への対応が求められる建設業については78.9%が人手不足と回答しており、業種別では最も厳しい状況が明らかになった。

人手不足への対応としては、「非正規社員を含めて採用活動を強化する」が8割超えで、最多。生産年齢人口が減少する中、省力化や多様な人材の活躍などの取り組みが求められるが、「事業のスリム化、ムダの排除、外注の活用」は39.1%で、「女性・高齢者・外国人材など多様な人材の活躍推進」は37.3%と4割弱にとどまった。

半数以上が「防衛的賃上げ」

賃上げに取り組む企業は全体的に増加しており、2024年度に「賃上げを実施予定」と回答した企業の割合は、6割を超えた。ただし、そのうち「業績の改善がみられないが賃上げを実施する予定」の企業は60.3%であり、半数以上が「防衛的賃上げ」をする予定であることがわかった。

「賃上げを実施予定」と回答した企業の割合は、介護・看護業(66.7%)が最も多く、次が製造業(64.2%)、3位に建設業(63.4%)が続いている。建設業では、そのうち60.9%が「防衛的な賃上げ」と回答している。

賃上げ率の見通しについては、「3%以上」とする企業が4割近くに達し、「5%以上」との回答も1割。「3%以上」と回答した企業の割合は、宿泊・飲食業(46.3%)、その他サービス業(39.9%)で4割前後に達し、コロナ禍の影響を強く受けた業種で業況の回復がうかがえる。建設業は、35.1%にとどまった。

業績の改善がみられない中でも賃上げをする「防衛的賃上げ」をする理由として、8割近い企業が「人材の確保・採用」を挙げている。一方、「賃上げを見送る」理由は、「売上の低迷」が55.9%と最多となっている。

2023年10月の最低賃金の引き上げを受け、「最低賃金を下回ったため、賃金を引き上げた」と回答した企業は38.4%と4割近く。一方、人手不足や物価上昇が進む中、「最低賃金を上回っていたが、賃金を引上げた」とした企業は29.8%と、昨年度から5.2ポイント増え、2017年の調査開始以来で最も高い割合を示した。業種別でみると、介護・看護業が最も高い61.5%、次に宿泊・飲食業が58.7%で、建設業は19.2%にとどまった。

現在の最低賃金について、「負担になっている」と回答した企業は65.7%で、昨年度から10.6ポイント増加した。負担感が一番強かったのが宿泊・飲食業の88.3%で、建設業は50.8%と半数を超えた。

最低賃金を下回ったため賃金を引上げた従業員の属性は、パートタイム労働者が83.3%で最多。人件費が増加したことに対して、どのような具体策をとったのかについては、「具体的な対応が取れず、収益を圧迫している」との回答が26.2%もあった。「原材料費等増加分の製品・サービス価格への転嫁」(26.4%)「人件費増加分の製品・サービス価格への転嫁」(25.1%)と価格への転嫁による対応も同程度、見られた。

2024年度の最低賃金改定に対する考えとしては、「引き下げるべき」もしくは「引上げはせずに、現状の金額を維持すべき」と回答した企業は41.7%で、昨年度から8.0ポイント増加しており、過去最高の最低賃金の引き上げの影響があったことが見受けられる。一方、「引き上げるべき」との回答も、同じく41.7%で昨年度に続き、4割を超えている。

(2024/2/19 新建ハウジングWeb)

成年後見人の一時利用可能に、法制審に諮問 現在は終身

小泉龍司法相は13日の記者会見で、認知症などの人に代わって財産管理を担う成年後見制度の見直しを15日の法制審議会(法相の諮問機関)総会へ諮問すると表明する。

 
 

一度選任すると原則として亡くなるまで利用をやめられない現行制度を改め、期間限定で選任できる仕組みなどを検討する。法制審での議論を踏まえ、2026年度までに民法などの関連法改正を目指す。

成年後見制度は判断能力が不十分な人に代わって後見人が預貯金の管理や契約を支援するもの。悪徳商法から保護する目的もある。親族のほか司法書士社会福祉士、弁護士といった専門家が後見人に就く。

いまは判断能力が回復しない限りは利用をやめることができない。後見人の著しい不正がない限りは解任もしにくい。専門家を後見人にする場合は毎月数万円の報酬を払わなければならず負担が重いとの指摘を踏まえて見直しを検討する。

後見人が支援する行為の範囲を限定することも論点となる。いまは日常的な買い物や旅行から財産管理まで包括的な活動が対象となる。必要とする支援の範囲を事前に定めたり、状況によって後見人を交代できたりする制度を導入する案がある。

例えば、日常的な行為は本人の決定に任せつつ、財産管理のときは弁護士、福祉施設へ入居する際は社会福祉士に依頼するといった形だ。

厚生労働省によると成年後見制度の利用者数は2022年末時点で25万人ほど。認知症患者が25年には推計700万人以上になるのと比べて利用が広がっていない。

認知症患者は今後も増えていく見通しで、政府は成年後見制度の普及を急ぐ。利用するための経済的な負担を減らし、柔軟に選任できるようにする方向で制度の使いやすさ改善を探る。

(2024/2/13 日本経済新聞

建てたい家、半数が「在来工法の木造戸建」―内閣府調査

内閣府が2月2日に公表した「森林と生活に関する世論調査」によると、住宅を購入する場合に「木造」「非木造」のどちらを選ぶかを尋ねたところ、全体の7割が「木造戸建」を選択。全体の約半数が「在来工法の木造による戸建住宅」を、約2割が「ツーバイフォー工法など在来工法以外の木造による戸建住宅」を選んだことが分かった。

(2024/2/9 新建ハウジングWeb)