WOODY調査士の情報通

登記・測量、住宅、不動産の情報をかき集めています。

海外IT7社、義務の法人登記「しない」…ネット中傷対策へ法務省が過料求め初の通知

 日本で事業を行う海外のIT企業が会社法に違反して法人登記を怠っているとして、法務省は1日、未登記の7社に過料を科すよう、東京地裁に求めたと発表した。インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷対策を進める狙いがあり、同省がこうした措置をとったのは初めて。同地裁が今後、過料を科すかどうか決める。

 会社法は、日本で継続的に事業を営む海外企業に対し、外国にある本社を登記するよう義務づけ、違反した場合は100万円以下の過料を科すと定めている。

 法務省総務省は3月、総務省電気通信事業者として届け出をしている企業のうち、未登記だった米グーグルやメタ(旧フェイスブック)、ツイッターなど48社に対し、登記を行うよう要請。6月3日にも再要請したが、7社が「登記しない」と答えるなどしたため、同月30日に過料を求める通知を同地裁に行った。

 法務省は「会社の権利や正当な利益を害するおそれがある」として7社の社名を明らかにしていないが、関係者によると、グーグルやメタ、ツイッターは含まれていない。

 一方、これまでに8社が要請に応じて登記を終えたり、申請手続きをしたりしている。電気通信事業をやめた2社を除く31社は登記に前向きな意向を示しているといい、同省は、今月22日までに登記の申請を行うよう、改めて求めた。

 外国本社が未登記の場合、ネットの中傷による被害回復が遅れる恐れがある。被害者が書き込みをした相手を特定するには、ネット事業者に発信者情報の開示を求める必要があるが、登記されていないと、海外から登記情報を取り寄せたり、外国本社に訴状などの書類を届けたりする時間や手間が生じるためだ。

 ネット中傷が深刻化する中で弁護士などから対策を求める声が上がり、昨年6月に出された自民党の緊急提言でも、登記を徹底させるよう指摘されていた。

 IT問題に詳しい板倉陽一郎弁護士は「登記が進めば裁判手続きが迅速化し、早期の被害回復も期待できる」とした上で「今後は過料の引き上げや職権による強制的な登記を可能とするなど、より強い措置も必要ではないか」と話している。

(2022/7/1 読売新聞)