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違法盛り土を厳罰化、法人への罰金最高3億円…熱海土石流受け政府が改正案

 死者・行方不明者27人を出した静岡県熱海市の土石流災害を受け、政府が盛り土の規制強化のために検討してきた「宅地造成等規制法」改正案の概要がわかった。名称を「宅地造成及び特定盛土等規制法」(通称・盛土規制法)に変更し、法人対象の罰則規定を新たに設ける。法人への罰金は最高3億円となる見通し。3月上旬に閣議決定し、通常国会に提出する方針。

 政府関係者によると、改正案では、盛り土によって人家などに被害が及ぶ恐れがある地域を都道府県知事らが規制区域に指定する。区域内での盛り土や切り土、一定規模以上の土石を積む行為は知事らの許可制となる。土地の用途にかかわらず宅地や森林、農地などが広く規制対象となるため、改正後は国土交通、農林水産両省が法を所管する。

 造成工事の中間・完了検査も実施する。管理責任を明確化するため、盛り土が行われた土地について所有者らが常に安全な状態を維持する責務があることを明記。危険が生じた場合、所有者だけでなく、造成した業者、過去の所有者にも是正措置を命じることを可能とする。

 現行法では無許可行為や命令違反への罰則は、個人、法人問わず最大「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」となっており、これを大幅に引き上げる。個人への罰則は「懲役2年以下、罰金100万円以下」より重くする。法人にはより重い罰金を科すことができる規定を新たに設け、最高3億円とする方針だ。

 昨年7月に起きた熱海市の土石流災害では、盛り土が行われた後、土地の所有者が変わり、県の条例に基づく安全対策を命じることが難しい状況となっていた。

 また盛り土は場所や規模に応じ、森林法や農地法自治体の条例などで規制されているため、規制が緩い場所や方法を選んで建設残土が不適切に処理されているとの指摘もあり、全国知事会から全国一律の基準を求める声があがっていた。

 昨年8月から全国で実施されている盛り土の総点検では、無許可・無届けなど不備のある盛り土が約1400か所に上っている。

◆改正案のポイント

都道府県知事らが規制区域を指定

▽工事の中間・完了検査を実施

▽土地所有者の管理責任を明記

▽法人への罰金は最高3億円

(2022/2/16 読売新聞)