岡山市北区の県道玉柏野々口線で、道路の盛り土を支える擁壁の安定性が不足し、転倒や滑動の恐れがあると分かった。設計ミスとみられる。道路を管理する市は、擁壁を含む約500mの区間を2021年3月18日から通行止めにした。
問題の箇所では、18年7月の西日本豪雨で道路脇の斜面が崩壊し、路肩が崩れるなどの被害を受けた。市は18年度に復旧工事の設計を建設コンサルタント会社に委託。19年度に工事を建設会社に発注し、20年8月に復旧を終えた。設計委託費は約100万円で、工事費は約2500万円。市は、設計者名と施工者名を明らかにしていない。
この工事が会計検査の対象となり、市が設計内容を精査したところ、20年2月下旬に設計の不備が判明。もたれ式コンクリート擁壁の安定性が不足していた。擁壁の延長は18.5mで、そのうち延長5mの高さが7m、残りが高さ9mだ。
日本道路協会の「道路土工―擁壁工指針」に従った計算よりも、土圧が小さく算出されていた。市が指針に基づいて照査すると、高さ7mと9mのいずれの箇所でも、擁壁の重量や土圧などの合力の作用点が転倒に対して安全な範囲から外れていた。さらに滑動についても、安全率が1よりも小さく、許容値の1.5を大幅に下回っていた。(後略)
(2021/3/23 日経コンストラクション)