広島県世羅町で17日に自動車が燃える火災が起き、その原因は車内にあった測量器がレンズの役目をして太陽光が集束し、周囲に燃え広がる「収れん火災」とみられることが21日、三原市消防署世羅西出張所の調べで分かった。測量器の鏡はわずか5、6センチの大きさだったが車は全焼した。同出張所は直射日光の当たる車内に反射物などを置かないよう呼び掛けている。
火災は17日午後2時40分ごろ同町黒川の道路わきで発生。同出張所などによると、災害復旧工事の測量で現場に1時間程度止めていた車が燃えた。当日は猛暑で、よく燃えていた後部座席には光で対象物への距離を測る「プリズム」という5、6センチの鏡のついた測量器があった。同出張所はこの鏡によって光が集まり、火災につながったとみている。
光の集束具合などを21日に実験で確認した森田豊満所長は「断定しないが、測量器が原因となった以外は考えにくい」としている。
公益財団法人市民防災研究所(東京)によると、収れん火災は光が一点に集中しやすい凹面鏡や凸レンズなどが原因となりやすい。高温となる夏だけではなく、太陽の角度が低くなる冬も日差しが差し込みやすくなるため起こるという。
同研究所の坂口隆夫理事は「車内に置いたペットボトルなども場合によっては光を集束させ、出火の原因になりうる」と指摘。「車内に不用な物を置かないように用心するべきだ」と注意を呼びかけている。
(2020/8/22 中国新聞)