京都市内の空き家数は実は減っている―。京都市が2018年度に実施した空き家の実態調査でそんな結果が浮かび上がったことが分かった。近年の外国人観光客の急増に伴い、ホテルや簡易宿所への転用が進んだことが一因とみられる。市の担当者も「空き家は増加していると考えていたので意外な結果」と驚いている。
調査は昨年7月~今年3月に市内11行政区の26学区で実施した。水道の閉栓情報に建物の外観の状況などを加味して空き家かどうか判断したところ、空き家数は3802戸だった。
このうち14年度の前回調査と比較可能な20学区内の空き家数は3420戸で、441戸減少した。減り方が顕著なのは、御池、五条、河原町、堀川の各通りに囲まれた「田の字地区」や京都駅周辺など市中心部。3学区では世帯数も減少していることから、市は「ホテルやオフィスなどへの商業利用が進んだ」と分析している。一方、11学区では世帯数が増加しているため、中古住宅としての流通が進んだとみている。残りの6学区では空き家数は増加した。
調査対象の学区はあくまで抜粋だが、総務省が4月に公表した住宅・土地統計調査(速報値)でも、府内の空き家数が減少していることから、市は「市内全域でも同じく減少傾向と言えるはずだ」とする。
一方、訪日外国人の急増によるホテルや簡易宿所の建設ラッシュは一時的な動きとの見方があり、市まち再生・創造推進室は「今後の本格的な人口減少時代の到来を踏まえると、空き家の増加を見据えた対策が必要だ」としている。
(2019/6/5 京都新聞社)