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土地を放棄できる制度、政府が検討 要件・引受先議論へ

 政府は、土地の所有権を放棄したい時に放棄できる制度の検討を始めた。人口減で土地の活用や売却に困る所有者が増えていることが背景にある。防災上の必要性など一定の要件を満たせば、所有者が土地を手放せるようにする方向だ。放棄された土地の引受先などが課題になりそうだ。

 政府が来月に取りまとめる「骨太の方針」に盛り込む。法務省国土交通省が具体的な検討を進め、来年2月にも方向性を示す。

 民法には「所有者のない不動産は、国庫に帰属する」(第239条)との規定があるが、土地放棄の手続きを定めたルールはない。そこで廃棄物処理のように、土地の所有者が一定額を納めれば放棄できる仕組みなどを検討する。

 ログイン前の続き所有者が管理できるのに、放棄して国や地方自治体に負担を押しつけるような事態を避けるため、災害で危険になった土地に限定するといった一定の要件を設ける方向だ。中山間地などで住民が極端に少ないなど適切な管理を続けるのが難しい土地について、低コストで最低限の管理をすれば済むような仕組みができれば、放棄できる土地の対象が広がる可能性もある。

 要件が厳しかったり、所有者に費用負担を求めたりすれば、放棄ルールをつくっても活用されず、土地の放置状態が結局解消されない可能性もある。一方、放棄された土地の管理コストを税金で賄うことに反発の声も出そうだ。

 放棄された土地の引受先も課題で、国交省内で検討される。民法上は国だが、自治体や公的な第三者機関などが引き受けるべきだとの意見も政府内にはある。

 来年2月にかけて、法務省の研究会で放棄できる土地の要件や、放棄の際の所有者の負担が必要かなどの詳細を詰める。

 日本司法書士会連合会が昨年、全国約2万2千人の司法書士にアンケートしたところ、回答した797人の約半数が「いらなくなった不動産を自治体に寄付したい」と相談を受けたと回答。土地を手放したい人は少なくないとみられる。

(2018/5/29 朝日新聞デジタル