土地の境界を定める地籍調査を巡り、長野や高知、福岡などの16県で、境界が確認できたのに、法的に確定させる手続きがとられていなかったことが、会計検査院の調べでわかった。不備があった調査に使われた国の補助金は約43億円に上り、検査院は国土交通省に改善を求めた。
地籍調査は1951年、土地取引の円滑化などを目的に始まった。主に市町村の職員が土地所有者らの立ち会いのもとで境界を確認し、測量に基づいて地籍図などを作成。地籍図などは都道府県知事の認証を受けて法的に確定する。
検査院は、2018年度までの5年間に、16県の151市町村などが地籍図を作成した事例を抽出して調べた。522件の調査のうち約5割にあたる271件で、土地の境界を確認できていたのに、県知事に認証を求めていなかった。実務経験や引き継ぎの不足で手続きが遅れるなどしていた。認証を求めないまま3年以上が経過したケースが目立ったという。
(2020/10/22 読売新聞オンライン)