河野太郎行政改革担当相は24日、全省庁に対し、行政手続きで印鑑を使用しないよう要請し、使う必要がある場合は理由を今月中に回答するよう求める事務連絡を出した。23日に開かれた「デジタル庁」設置に関する関係閣僚会議でも「はんこをすぐにでもなくしたい」と押印の廃止を呼びかけており、早速発破をかけた形だ。
事務連絡では、文書への押印の廃止を要請するとともに、印鑑使用の現状や押印を残す場合の理由などを答えるよう求めている。年間1万件以上ある行政手続きは月内に、それ以外は10月上旬までに回答するよう要請した。内閣府などによると、押印が必要な行政手続きは約1万種類あるという。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて政府もテレワークを推進しているが、行政手続きに押印が必要なことがネックとなっている。7月に閣議決定した規制改革実施計画に基づき、年内をめどに押印廃止を含め行政手続きの見直しを求めていたが、今回、3カ月前倒ししたことになる。
河野氏は防衛相在任中、新型コロナの感染リスクを減らすため、印鑑が必要だった政務三役らの内部決裁を電子決裁に変更した。今回の事務連絡を受けたある府省の担当者は「こんなに期限が早まるとは。相当ネジを巻いて作業をしなければ間に合わない」と話した。
(2020/9/24 毎日新聞)