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建設現場の熱中症対策ー新型コロナ感染予防と両輪で/暑さ指数の積極活用を

今月に入り東日本や西日本で最高気温が30度以上の真夏日、25度以上の夏日が相次いだ。気象庁が4月24日に発表した5~7月の3カ月予報によると、気温は全国的に「平年並みか高い」見通し。建設現場では熱中症災害を防ぐための万全な備えが必要になりつつある。新型コロナウイルスの感染拡大防止策など、例年以上に現場で働く人への細やかな安全衛生対策が求められる。

厚生労働省が3月にまとめた職場での熱中症死傷者数(2019年速報値)を見ると建設業は147人。記録的な猛暑となった18年から92人減ったものの死亡者数は前年と同じ10人と、依然として業種別で最も多い。

要因はさまざまだが、死亡につながった熱中症の屋外作業現場では、環境省が推奨している、熱中症へのかかりやすさを数値化した暑さ指数「WBGT値」の測定が行われていなかったことが分かっている。屋内で熱中症にかかる事例も多くなっているという。

環境省は4月からWBGT値の情報をホームページで発信。気象庁は翌日または当日の最高気温が35度以上になると予想した場合に「高温注意情報」を発信している。環境省気象庁は、熱中症への警戒をより効果的に呼び掛ける「熱中症警戒アラート(仮称)」を検討しており、今夏に関東甲信9都県で先行稼働する。21年5月から全国展開する予定だ。

厚労省は毎年実施している官民合同の「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」を1日にスタート。9月末までの期間中、熱中症予防に向けさまざまな周知・啓発活動を展開する。7月を予防徹底に特に力を入れる重点月間と位置付ける。

全国で労災防止活動を推進する7月1~7日の「全国安全週間」に合わせて、建設関連各社は安全大会を開催している。今年は新型コロナの流行を受け人数を絞ったり、時間や空間を分けたりなど開催方法を工夫する向きもある。感染拡大防止の取り組みが最優先される中、安全大会の準備・開催が現場負担になることから中止を視野に検討している企業もある。建設現場では熱中症と新型コロナ感染症の両面で予防対策が急がれる。

国土交通省は直轄土木工事の積算基準に熱中症対策として現場管理費補正を導入している。気候や施工期間に応じ工事現場の安全対策に必要な経費として現場管理費を補正。主な工種が屋外作業の工事が対象で、地域を問わず全国で適用する。工事期間中の真夏日の日数に応じて設計変更時に現場管理費を補正し精算する。「建設現場における熱中症対策事例集」の活用も呼び掛けていく。

(2020/5/21 日刊建設工業新聞社)