太陽光でつくった電気の買い取り価格が大幅に下がる2019年度を前に、中国地方で事業用の太陽光発電の駆け込み申請が起きている。18年度分は約500件と17年度の1.7倍に増えた。買い取り価格の下落で採算を取るのが難しくなっており、今後は一転して減りそうだ。

 中国経済産業局は、5県に建設される出力50キロワット以上の太陽光発電の申請を受け付けている。18年度分は1月に締め切った。17年度は約300件で200件の増加となる。出力の規模は「500キロワット以上〜2千キロワット未満」が目立つ。

 事業用の太陽光を大手電力会社が買い取る価格は、今の制度が始まった12年度は1キロワット時当たり40円だった。18年度は18円と半値以下になった。さらに19年度は14円で、前年に比べた引き下げ率は22.2%と過去最大になる。

 19年度の住宅用(10キロワット未満)は設備によって24円か26円で、事業用の方が安い。特に500キロワット以上は19年度から入札で価格が決まるため、14円よりも下がる見込みという。

 経産局新エネルギー対策室は18年度の申請の増加を「採算ぎりぎりのラインが近づき、急いだのではないか」とみる。

 再生可能エネルギーを固定価格で買い取る制度によって、太陽光発電は一定に普及した。経済産業省によると、中国地方で稼働する50キロワット以上の太陽光は18年6月時点で1972件。住宅用を含めた出力の規模は335万キロワットと中国電力の火力発電の半分近い。

 太陽光は天候で発電量が変わりやすいため、電力会社は受け入れに制限を設けている。一層の普及には多くの課題がある。

(2019/2/22 中国新聞)